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#Overseas
目次
- 処刑ライブ配信宣言
- 17年前に米軍基地で乱射した男
- 最後の要望?「知らんがな」
- 死刑とライブ配信
- 道徳的優位性の喪失:ラリー・ジョンソン
- 正義か、復讐か:スコット・リッター
- 公開処刑は禁止されているのか
- 国際規範
- アメリカ国内法
- 公開処刑は何を見せて来たのか
- ガイ・フォークスから400年
- アメリカが失おうとしているもの処刑ライブ配信宣言
処刑ライブ配信宣言
昨日、Judging Freedom を流しっぱなしにして、聞くともなく聞いていたら、ナポリターノ判事が、妙な話を始めた。(INTEL Roundtable : Weekly Wrap : 9-OCT)
早速、今日の最も注目を集めている話題に入りたいと思います。私は今朝7時15分頃、ニュースマックスで一日を始めましたが、その際、希望する誰にでも生中継される公開処刑という考え方を強く非難しました。これは連邦法違反であるだけでなく、それ以上に「死の文化」を助長するものです。自らを「戦争長官」と称する国防長官が、これを擁護する様子をご覧ください。クリス、映像13番を流してください。
いったい何の話をしてるんだ?と頭にハテナマークが量産され始めた。最近ほとんどSNSを見ないし、テレビも新聞も読まないので、情報源は、フォローしているいくつかのYouTubeチャンネルと、Substack などにあるブログ系の記事くらいだ(日本語は見猿・聞か猿・読ま猿 🙈🙉🙊)。自分が運営するサイトがサイバー攻撃されてムカついてるうちに、世の中のことがあっという間に見えなくなってしまう。
ナポリターノ判事のイントロを聞いて、なんか見落としてるなと思って、ちょっと調べてみたら、出るわ、出るわ。
なんと、アメリカ政府が公開処刑をライブ配信するという声明を出していた。
17年前に米軍基地で乱射した男
しかし、いったい誰を処刑するのかと調べていたら、おっ、あの事件だ。
それは、17年前に起きた事件だ。
2009年11月5日、元米陸軍少佐で精神科医のニダル・マリク・ハサン(Nidal Malik Hasan)という男が、テキサス州のフォート・フッド基地で銃を乱射し、13人を殺害、32人を負傷させたという事件だ。
米軍の現役少佐が、米軍基地内で、米軍兵士を多数殺害したという特異さから、銃乱射事件の多いアメリカでもかなりのニュースになった。おそらく当時、日本でも報道されただろうと思う。
その頃は、ニューヨークに住んでいたので、その時のアメリカでの衝撃と論争をよく覚えてるが、それが、その後どうなったのかは、とんと知らずにいた。
調べてみると、2013年に死刑判決。その後の上訴を経て、今年10月に執行が承認されたということだ(詳しくは、表にまとめたので、そちらを参照)。

表中の注:
* 裁判所の判決文
米軍控訴裁判所(CAAF)、2024年3月4日判決:
** 最高裁の事件記録
事件番号24-5225。2025年3月31日の「Petition DENIED」を掲載
*** 米陸軍の発表
“Army Sets Execution Date for Convicted Murderer Nidal Hasan”、2026年10月7日
**** APの報道
“Pentagon says the firing squad execution of Fort Hood shooter Nidal Malik Hasan will be livestreamed”
上の表中の10月7日のピート・ヘグセスのインタビューは、空母USSエイブラハム・リンカーン上で、Real America’s Voiceの記者によって行われたが、その後、この動画は多くの配信会社や、動画チャンネルによって拡散された。この部分を文字にして下に載せる。日本語訳も付け加えた。
最後の要望?「知らんがな」
インタビューアー:This news that came down regarding a firing squad: can you tell us about how that came about and what led to that decision process?
(銃殺刑を執行するという発表がありました。どういう経緯で、その決定に至ったのか教えていただけますか。)
ピート・ヘグセス:No-brainer. Execution by firing squad. Army major betrays his country, radical Islamist kills a bunch of Americans at Fort Hood. Of course we’re going to do it at Fort Hood. Going to do it on a Thursday. We’re going to do it at 1:00, which is when he did it. And it’s going to be soldiers with rifles executing the firing squad. It hadn’t been since World War II since we’ve done that.
(当たり前だろ(No brainer)。銃殺刑だ。陸軍少佐が祖国を裏切った。過激なイスラム主義者が、フォートフッド(基地)で大勢のアメリカ人を殺したんだ。当然、執行するのもフォートフッドだ。木曜日にやる。午後1時だ。あいつが事件を起こした時刻に合わせる。そして、小銃を持った兵士たちが銃殺刑を執行する。こういう執行は第二次世界大戦以来だ。)
Well, I kind of like the mentality we had in World War II, which was: win. Which was: understand when the enemy attacks you, you need to stand your ground. And so he’s going to get a firing squad of soldiers, as it should be. And we’ll make sure that people are able to watch it, that it’s public, because people need to understand that there are serious consequences for these types of things.
(私は、第二次世界大戦のころの考え方が結構好きなんだ。「勝つ」という考え方だ。敵に攻撃されたら、ひるまず立ち向かわなければならないということだ。だから、あいつは兵士たちの銃殺隊に処刑される。当然のことだ。そして、人々がそれを見られるようにする。公開するんだ。こういうことをすれば、厳しい報いを受けるのだと、人々に分かってもらう必要があるからだ。)
インタビューアー:Has Major Hasan made any final request, reached out to the president, anything like that, to your knowledge?
(ハサン少佐は、最後の要望を出したり、大統領に連絡したりしていますか。何かご存じでしょうか。)
ピート・ヘグセス:Don’t care. Don’t care.
(知らんがな。)
ヘグセスの口調が、この日本語訳にはうまく伝わっていないかもしれない。かなり冷淡でぞんざいな態度が動画を見れば分かると思う。
No brainer という表現は、日常会話でもよく使われるが、「そんなこと、頭(brain)使わんでも分かるやろ」という感じの表現だ。
ヘグセスは、最後の質問に対して、「I」 という主語を抜いて、ぶっきらぼうに、「Don’t care. Don’t care」と言っているが、「気にしてない、どうでもいい」というような意味だ。私は、関西弁の「知らんがな」に近いと感じる。(余談だが、「日本語は主語をよく省略するが、英語は主語を省略しない」という金言は不滅の真理ではない。)
死刑とライブ配信
2009年11月のニダル・マリク・ハサン事件直後、「この犯行をどう理解するか」ということと、「軍やFBIはなぜ防げなかったのか」ということが、米国で論争の中心になっていた。
前者に関しては、ハサンがイスラム教徒であるからといって、「だから、イスラム教徒はナニナニ」という短絡的な結論へ直結しない配慮を、少なくとも主流メディアではしていた。(直接関係ないが、ここでたいていの読者は現在の日本の言論状況を想起するだろうと思う)。
ハサンについては、過激なイスラム主義思想という側面と並行して、軍の精神科医として負傷兵の体験を聞き続けたことによる心理的負担も議論されていた。
後者に関しては、9.11の同時多発テロの時のように、いったい米政府は何をやってるんだという政府の無能さに対する怒りが出てくるのだが、これは単に無能かどうかという問題ではなく、軍がイスラム教徒への偏見と受け取られることを恐れ、危険な言動に踏み込めなかったのではないか、という議論へ展開していった。いわゆる「ポリティカル・コレクトネス(PC)」の行き過ぎではないかという疑義だ。PCを目の敵にする大統領が在任中の今となっては、ちょっと想像出来ない慎重さに懐かしささえ感じる。
だからと言って、ハサンの犯行を擁護する意見は、当時も今も少なくとも前面には出てこない。あれだけ多くの人間を殺害したことに弁解の余地を見つけるのは難しいだろう。
では、今、何が問題になっているのか?
焦点は犯行そのものではない。公開処刑ということが論争の焦点になっている。
上記のJudging Freedom の会話に戻って、二人の出席者がどう考えているか見てみよう。

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