憲法リテラシー Part II. 憲法から教義へ

憲法リテラシー・プロジェクト Part II.「憲法から教義へ」の第一回目「個人の消滅」を2023年8月27日に実施しました。Part II.「憲法から教義へ」の目的は、自分で自民党憲法改正案を評価出来るようになることです。これを達成するために、まず自民党憲法改正実現本部にあげられている資料に沿って、彼らの意図を正確に理解することが前提になります。

その上で、それ、自民党憲法改正案を評価するために基準が必要になります。それがPart I.「人類の物語」の目的でした。憲法とは何かということをその根源に戻って理解することです。Part I.「人類の物語」に参加された方は、自民党憲法改正案を評価する基準を手に入れたことになります。

そして、いよいよ始まりました。自民党改正案を最初から最後まで逐条的に見ていくという方法もありますが、それでは退屈であるのはともかく、全体を見失う可能性があると思い、特に重要だと思う観点から全体を以下のように5つに分けました。

1回目の「個人の消滅」では、以下の3条を自民党改正案はどのように変えたいのかを見ていきました。

 第13条 個人の尊重と公共の福祉
 第24条 家族関係における個人の尊厳と両性の平等
 第12条 自由及び権利の保持義務と公共福祉性

その際に、大日本帝国憲法の臣民の権利と義務に関する規定と、慶安の御触書も参照しました。憲法学会の泰斗、樋口陽一氏が、ある憲法学者が自民党憲法改正案を慶安の御触書に例えていたことを紹介されていたので、慶安の御触書が実際どういうものなのかを見てみました。

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参加者の感想

以下は参加者の感想です(アンケートの回収に従って随時追加します)。

6. 個人の消滅

ベクトルの方向が逆、という説明が、憲法のことをほぼ勉強したことのない私にもとても分かりやすい、と思いました。怖いのは、それを今、日本の国民に説明してもそれの何が問題なのか、理解しない、理解しようとしない人が多そうなことです。

今日は具体的な内容に踏み込んではいたけども簡潔で分かりやすかったです。それでいて全てではなく聴きながらメモを取り、自分でももう少しこの辺を調べてみようという気になりました。 最後の御触書を見て気持ち悪さを感じましたが「家」に置き換えると田舎の特異な部分に少し当てはまるなとも思ったりしました。これは自身が田舎でそのように近い環境で育ったからというのもあるかしれません。

なんだか自民党の改憲案の「家族」にこだわるのは私の子供時代、田舎特有の良くも悪くも狭い地域で「自分達」で「よそ者に介入されないように」助け合いながら生きていきましょう。そして「家」を守っていきましょうに似てるなと感じました。

自民党って地方の世襲議員が多いのでその思想というか環境を持ち込んでるような気がします。 なんにしろ個人が失われてしまうのはいただけないと強く思った内容でした。 ありがとうございました。次回も楽しみにしています。

maki

憲法は国民が権力者を縛るものであることを知らずにいると自民党改憲案の異常さに気づくことができないと思います。明治憲法で天皇の大権として存在した条項が緊急事態条項に姿を変えて登場することで政権による独裁が可能になる危機感をどう表現したらよいのか言葉を失います。人権は商取引ではなく、人種や国籍により区別されるものでもなく、すべての人に備わっているものであることを義務教育の初期段階から教える必要がありますが自民党政権が続く現状では難しいでしょう。自民党の勢力を減ずる投票行動と憲法の意義を知らしめる行動を続ける必要を肝に銘じます。

杉下 麗

今回も受講できて本当によかったです。同時に、憲法のPart Iと以前の『人権』の講座を、より多くの方に見ていただきたいと強く思いました。特に投票率の低い若い世代に、どの様にリーチアウトしたらよいのか、考える会の開催を願います。

け~たん

改憲をしてまで何をしたいのか、を考えると

国民を個人ではなく、人(という使役できる資源)にしたいということなのだと思いいたりました。

何をしたいのか?→全方位の支配?

「国民の生活が大事なんて政治は間違っている」

「個人の権利、個人の権利、個人の権利とバカじゃないか」

「先人の権利を我々が継承している。その意味で国民主権というのがおかしい」

このような考え方が当然と当然でない人がいるわけですが、

本日のチャット欄にあった、こういうことを知らない、考えていない層が最大の難関なのかとも思いました。

今度の通常国会で発議、来年9月には国民投票というスケジュールも毎日新聞から出ていました。 周りに少しずつ話をしていく以外方法ないのかもどかしく思います。

これくらい懇切丁寧に説明していただいてやっと自民党改憲案の問題点について理解することができました。外と内で言っていることが違うと言うのは本来はジャーナリズムが指摘すべきことだと思うんですが、広報しかないということでしょうか。

よしさん、いつもありがとうございます。

自民党が「国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような」憲法改正案を作ったということは、このままでは国を維持できなくなると、彼ら自身が考えているからではないか。ここでの国とは、現在の権力者がそのまま権力の座に居座る国のことで、国民を権力を維持するための人(人家畜=奴隷)としか見ていないと思った。

また、国民の方も、家父長制の中に組み込まれて人権を捨てた奴隷であることが「美しい日本」と考え、それを好む人もいて、権力者の思惑とうまく噛み合っている。今でも日本は生きづらい国なのに、改憲されてしまうと、さらに生きづらくなりそうだ。

各個人が改憲案の危険性に気付き、自分で考えることが必要だけれど、投票率さえ5割の状態で、顔の見えない憲法について考える事ができるだろうか。考えるための余裕が奪われ、これからもっと困窮することが予想できるのに、この国に破滅以外の行く末はあるのだろうかと暗澹たる思いに陥った。

とても残念ながら、基本的人権、尊重、憲法、民主主義、公共の福祉、選挙などを理解せず、理解しようともしないで、本日のスライドの中の片山さつきの発言を実行している人が多いことを肌で感じています。

教育は悲しいことに逆に成功していて、歴史の授業も、人権教育にも国益を尊重する思考が植えつけられています。そんな人たちも生き辛さを実感し違和感を解消するためにしていることは、パートを掛け持ちをしたり、時間を割いてボランティアをしたりです。

行っても何も変わらないと選挙には行かない、気づかない間に教育されてきた彼らと今日心配し悩む人々の違いはなんだろう。

鬱陶しがられず、伝える手段はないものか、気を引ける何かを探してます。知り合いたちに通じる言語が欲しい。

Hiro

自民党の改憲案が、常に「人権より国益」、「福祉より家族、家に任せる」方向に進みたいことがよく理解出来ました。 次からも内容は恐怖ですが、愉しみにしています。 ありがとうございました。

翔空

よしさん、今日もありがとうございました。

 6.個人の消滅、この題名のとおり、個人の個がなくなることによる大きな意味の変化、日本国憲法の意義の変化がよくわかりました。

 日頃、言葉の選び方使われ方で、言葉としては小さな変化でも意図することが大きく違ってくる、という経験をよくしますが、憲法において、個人の個の消失で、世界でも最先端の日本国憲法が、江戸時代の慶安の御触書に近づいてしまうということには大変驚きました。個ではなく家族へ、家制度、家父長制への回帰、これらを意味するとは、改憲草案の恐ろしさを感じました。

 日本国憲法については、子供のころ学校で学びましたが、それが家に帰ってきて、起こっている日常の理不尽について憲法の内容と照合したり、自分が身を置いている家族関係が果たして憲法の理念に合致しているか、「個人の尊厳」をもって対応されているか、などと検証できるわけがありませんでした。その不一致はそのままにされ、違和感ももたず、ずっと続いていきました。憲法学習が不十分だったことだけでなく、実際の家族関係が古い昔の家族観をもとに築かれて維持されていたために、人々の真の意識が日本国憲法下の意識として十分に育たなかったのではないかと、今日の講義で思いました。

 慶安の御触書の中の、「男は農耕、女房は機織りに励み・・・」の部分で、「容姿が醜くても、夫の所帯を大事?にする女房には、親切にしてやるべきである。」というところを読んで、昔、祖母が同じようなことを話していたことを思い出しました。だから、何が何でも一生懸命働いたと言っていました。慶安の御触書は1649年に出されたもので、祖母は大正3年(1914年)生まれです。とても長い期間に渡って継承されてきた考え方なのではないかと思います。私は東北出身なので、地方と都市部との違いもあると思います。地域によって意識の差はまちまちで、でも、この差は対策は一様では済まない、安易な見方はできない、充分考慮されるべきものと思います。

 憲法が改憲草案のように、大日本帝国憲法どころか、江戸時代の慶安の御触書に近いものに変わってしまった場合、誰が一番被害を被るか、という、よしさんの今日最後の問いかけはとても重く、自分自身もですが子供達にどんな選択肢を与えることができるか、自分に力があるか、改めて考えさせられました。

よしさん、お疲れ様でした。ありがとうございました。

今日もありがとうございました。

今回は、<熟語・ことば>を意識することはすごく大事、罠に気づくための必須能力かも・・・と、なぜか戦闘モードになっている自分がいました。

学びの途中からは、『自己肯定感の低い日本の子どもたち』『若い世代の死因のトップは自殺』『スクールカースト』『ハラスメント』などの文字がずっと頭に浮かんでおり、今でさえ、ヒトとヒトの関係の中に潜む上下意識、弱者が虐げられる構図があると思うと、それを私たちが望む理想の国の在り方を記す憲法で認めてしまうような改正(改悪)を許したくないと思います。

その一方で、進行の手続きを知ると、レールに乗ってしまえば直進してしまいそうで、このリアルは本当に恐怖でしかない。自分が選んだ自分の人生を、誰もが思うように生きていけるささやかな幸せを守り続けたいと私は望みますが。

後半戦に入って、ぐっと憲法が自分の近くに向かってきたような内容でした。

優しげな雰囲気の言葉に書き換えられて、私のような者はうっかり騙されそうな改憲案の隠れ蓑をひっぺがして正体を見せていただけたような気分です。

爽快の後に来た絶望感は半端なかったけれど。

前半の講義で習ったことがあるから理解ができることが多いのだけれど、講義の中で繰り返し補足説明してくださるので、今から参加してみようという方も全然無理じゃないと思います。

前半戦を終えてきたと言ったって全然まだまだな私ですら面白いと思う内容だったので、むしろ面白くなってきたここから聞き始める方は飽きないと思うし、もっと詳しく知りたいと思って前半の内容に立ち戻って学ぶのもありなんじゃないかなあと思います。

よしさんが直接議員に質問できたなら、彼らはどんな顔をするだろうと想像します。

質問するマスコミ側の力もきっと足りてない。

意見すべき私たちにも意見する力が備わっていないということに、改めて悔しい思いでした。

ありがとうございました。

非常な恐怖感を抱いた回だった この真実さえ知らず 政治を無視するかの遠い国家として

ただ自分が生きている大地をただ統括する政府として日本を見ているだけの無興味層の啓発をどうにかしないと思った そして、喜びのごとく改憲改憲と騒ぐ人たちには軽蔑のまなざしを覚えるとともに、どう考え方を変えてもらうのかを考えた。そしてコミュニティのドイツの在住の方のYouTube これで全て日本が今起きていることに納得が行ったし とにかく、怖い ただ、恐れるだけでなく 正しい知識でどう選別するのかそれを養うことが それ以上の事だとも悟らせてくれた。こういうのを何とか高校生などにも伝えたいとも思った ただどうやってやるのか それが大事だと思う

いつもありがとうございます。大変勉強になります。個人の消滅、については早速身の廻りの人達とも会話しています。私は日本は人権を勝ち取ったのではなく、与えられた、と言う結局軍部が進駐軍になっただけの”GIVENの文化”が継続され、教育もそのまま大本営発表の体制であるのに、「国体」の議論を忌避して来た歪みから脱却する地合いを作らないと、日本国に執着する動機が希薄な若者は皆棄国してしまうのでは、と思っています。勿論、それも含めて一つの道なのでしょうが。

そもそも民主主義を勝ち取った事が無い国々が実は沢山あると思います。民主主義一等国と目される米国でも独立時に既に人権意識が芽生えていても当時の憲法上では黒人は動産、未だに揉めます。民主主義国家が世界の国数で3割弱、人口で4割弱である中で、日本(安保闘争)や韓国(大統領選)の学生運動的なモノ(問題意識)が存在していた背景要素は時代だけだったのでしょうか。

萩原伸一

今回も勉強になりありがとうございました。。自民党の改憲案が、大日本帝国憲法以上に、国民を縛り付けるものなのが、恐ろしいてす、 どうしたら国民が、この危険に気づく事が出来るのか、あまり時間があると思えず、焦燥感か、募ります。

りりあ

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