去年2022年に続いて、今年も憲法リテラシー・プロジェクトを行います。
去年、憲法リテラシー・プロジェクトを始めたのは、参院選の直前で、以下のように書きました。
今夏の参議院選挙の公示日が6月22日、投開票は7月10日の見込みだと報道されてます。その後は、2025年7月の参議院選挙、同年10月の衆議院選挙まで3年間、国政選挙はありません。
今の政治状況を見るかぎり、3年以内に日本国憲法の改正の是非を全国民が問われる可能性が出てきたようです。その時に、誰かに指示されるのではなく、どのような改正案が提案されているのかを自分の目で見て、自分の頭で是か非か判断したいというのが自立した大人の気持ちではないでしょうか。
参院選の結果は、ますます危機感を強くさせるものでした。その後の政府の、国内・国外での様々な動きを見ると、一人一人の国民が日本国憲法の改正の是非を問われる瞬間が現実的に迫ってきたように思えます。
その時、我々は自分の考えと意思で判断できるほど、十分な憲法リテラシーを持っているだろうか?そこに大きな不安があります。
憲法リテラシー・プロジェクトを行う目的は、全ての人が自分が何を支持したいかを自信を持って判断できるリテラシーを身につけることです。ある一つの主張を吹き込むことが目的ではありません。
憲法というと、何か自分の生活からかけ離れたもの、退屈そうなものと思えるかもしれない。しかし、事実はまったく逆です。憲法には、人類の物語がつまっています。野生の動物の一つの種に過ぎなかったヒトが、現在の人類になるまでの長い歴史の知恵がつまっているのです。もちろん、日本列島という島々に住んでいた人たちの知恵もそこに貢献しています。
壮大な人類の物語の結晶の一つに、日本国憲法があります。長い歴史のすえに、国家の権力を縛る最高規範として、憲法という仕組みを人類は作りました。日本国憲法もその成果の上に成立しています。ところが、現在の日本では、字面だけをなぞる浅はかな考えや怨念で、「国家権力に憲法を守る義務があり、国民は権力者に憲法を守らせる義務がある」という原理的な関係さえ転倒させようとする者もいます。
そういうものに足をすくわれずに、取り返しのつかない失敗を犯さないように、我々国民は憲法リテラシーを高める必要があると考えて始めたのが、この憲法リテラシー・プロジェクトです。もう我々は国家の奴隷ではないのです。
対象
憲法リテラシー・プロジェクトは、全ての人を対象にしますが、特に対象として考えてるのは、憲法についてまったく知らない、考えたこともない、少しは見たことあるがよくは知らないという人たちです。
たいていの人は、義務教育で日本国憲法を少しだけ習って、それっきりではないでしょうか?社会に出ると、憲法を勉強する余裕などあっという間になくなるものです。そういう人たちが、やがて憲法改正の是非を問われることになれば、いったい何を判断基準にして答えればいいのか?そこに危機があります。
中学生でも高校生でも誰も予備知識なしで分かるように、このコースは作られています。そういう次の、次の次の世代にも聞いてほしいと思っています。彼らは将来、自分の希望で、あるいは必要に迫られて、海外に出ていく可能性があります。英語は犬でも覚えますが、人類の物語は覚えません。多国籍の人と対等に渡り合うために必要なことが憲法には全て含まれています。むしろ、それを知らないと犬扱いされる可能性さえあります。
法学部に通っている大学生や、公務員試験や司法試験のために憲法を勉強している人もいるでしょう。このコースでは逐条解釈を行うのではなく、人類史に憲法を位置付けることを主眼としています。将来、日本の公僕のエリートになる人にとって、とても重要なことを一歩受験勉強の外に出て考えてほしいと思っています。
概要
右の動画では、2022年の憲法リテラシー・プロジェクトの概要を説明しています。全部で6回の構成になっていました。
今年2023年の憲法リテラシープロジェクトでは、2022年の内容を全てPart I に含み、自民党の憲法改正案をPart II で分析します。
Part I. 人類の物語
上の動画で話したように、去年の憲法リテラシー・プロジェクトの内容を、今回、Part I. 人類の物語として以下のような構成で残します。
目次 Part I.
(1) 憲法の歴史
(2) 憲法の理念
(3) 憲法の危機
(4) 憲法の修正
(5) 明治の憲法
Part II. 改憲の議論
今回は、Part II. を追加して、自民党の憲法改正案を詳細に解読していきます。自民党の憲法改正案に現れているのは、Part I. 人類の物語で解説する数千年の人類の闘いの結晶として現れた近代憲法の原理を根本的に反故にする思想です。つまり、国家を制御するという最も根本的な近代憲法の原理を廃止してしまうものです。それが、Part II. を廃憲の思想と名付けた理由です。
自民党改正案は、巧妙に擬態し、カモフラージュし、偽装しているため、そのような思想がどこに現れているかは一見して分からない可能性もあります。Part II. では、それを5個のカテゴリーに分けて整理し、浮上させました。
具体的には、Part II は、以下のような内容になります。
目次 Part II.
(6) 個人の消滅
(7) 家族と国家
(8) 緊急事態条項
(9) 謝罪と軍隊
(10) 憲法制定権力と革命
スケジュール
日程が変わりましたのでご注意ください。
Date | No. | Topic |
Part I. 人類の物語 | ||
2023年6月4日(日) | 1. | 憲法の歴史 |
2023年6月18日(日) | 2. | 憲法の理念 |
2023年7月2日(日) | 3. | 憲法の危機 |
2023年7月16日(日) | 4. | 憲法の修正 |
2023年8月13日(日) | 5. | 日本の憲法 |
Part II. 改憲の議論 | ||
2023年8月27日(日) | 6. | 個人の消滅 |
2023年9月10日(日) | 7. | 家族と国家 |
2023年9月24日(日) | 8. | 緊急事態条項 |
2023年10月8日(日) | 9. | 謝罪と軍隊 |
2023年10月22日(日) | 10. | 憲法制定権力と革命 |
実施方法
1. この第二ラウンドは、2023年6月4日に始まり、10月8日に終わりますので、約3ヶ月に渡ります。
2. 2週間ごとの日曜日に午後1時から午後3時までZoomで行います。
3. 各回の終了直後、スライドのPDF版とその他の資料を参加者に送ります。
4. 各回の終了後一週間以内に、録画へのリンクを参加者に送ります。
5. 参加者のチャットグループを作り、そこを質疑応答の場所とします。使用アプリは、Microsoft Teams(仮)
参加方法
受講料:
各ウェビナーの受講料は、各回2時間で1,000円です。一時間当たり500円ですが、5回分もしくは10回分まとめて申込むと、それぞれ一時間当たり400円もしくは350円になります。割引については下表を参考にしてください。
No. | Topic | 1回ずつ | 5回分ずつまとめて | 10回分まとめて |
Part I. 人類の物語 | 7,000円 (30%割引) | |||
1. | 憲法の歴史 | 1,000円 | 4,000円 (20%割引) | |
2. | 憲法の理念 | 1,000円 | ||
3. | 憲法の危機 | 1,000円 | ||
4. | 憲法の修正 | 1,000円 | ||
5. | 明治の憲法 | 1,000円 | ||
Part II. 改憲の議論 | ||||
6. | 改憲の議論 (a) 個人の消滅 | 1,000円 | 4,000円 (20%割引) | |
7. | 改憲の議論 (b) 家族と国家 | 1,000円 | ||
8. | 改憲の議論 (c) 緊急事態条項 | 1,000円 | ||
9. | 改憲の議論 (d) 謝罪と軍隊 | 1,000円 | ||
10. | 改憲の議論 (e) 憲法制定権力と革命 | 1,000円 |
受講料に含まれるもの:
1. Zoomでのライブウェビナーに参加。各回2時間。
2. スライドのPDF版とその他の資料。
3. 録画へのリンク。
4. チャットグループへの参加。使用アプリは、Microsoft Teams。
参加申込
下記の中から参加希望するコースを選び、「参加する」ボタンをクリックすると、決済ページに移動します。既に実施済みの回については、録画とスライド資料が提供されます。
憲法リテラシー
全10回
10,000円
7,000円
憲法リテラシー
Part I. 人類の物語
5,000円
4,000円
憲法リテラシー
Part II. 改憲の議論
5,000円
4,000円
Tips
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