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この記事は12月4日水曜日にニューヨーク市で起きた殺人事件に関するものだったので、日本の読者にはあまり関係ないだろうと思って、最初飛ばそうと思っていた。
しかし、これを聴いていると(Caitlin’s Newsletter は全部朗読されているので、最初にテキストの記事を読むより、何か他のことをしながら、朗読を聴いていることが多い。それで日本語版にするかどうか決めている)、これは単に殺人事件を扱う三文記事ではなく、一つの巨大保険会社のCEOが殺された背景を解釈する記事であり、何よりもそれが日本にもぴったりと当てはまるものであることに気づいた。
記事の中で、ケイトリンさんは、我々が現在住んでいる世界を5種類のロビー活動、5種類のシステムに分解して書いているところがある。読者は、それぞれが日本の文脈ならどういうことなのかを考えることが出来ると思う。
[原文情報]
タイトル:The Real Villains
著者:Caitlin Johnstone
配信日:Dec 06, 2024
著作権:こちらをご覧ください。
原文の朗読:こちらで聴けます。
健康保険の大手企業ユナイテッド・ヘルスケア(UnitedHealthcare)のCEOが水曜日、覆面をした襲撃者によって射殺された。この出来事は、米国の虐待的な医療制度や、それを利用して巨万の富を築くソシオパス的な利益追求者たちのもとで苦しんできた多くのアメリカ人にとって、ある種の喜びをもたらした。
ユナイテッド・ヘルスケアは、他の搾取的な保険会社と比較しても異常に高い保険請求拒否率を誇り、そのCEOであるブライアン・トンプソン(Brian Thompson)は年収1,020万ドル(約15億3千万円)を得ていた。
報道によれば、トンプソンを殺害するために使用された銃弾の薬莢には、「拒否、弁護、宣誓証言(deny, defend, depose)」と書かれていたという。これは、保険会社が支払いを回避するために悪名高い「遅延、拒否、弁護(delay, deny, defend)」戦術への皮肉だと見られている。
トンプソンの妻によると、彼は会社の行動に対する怒りから脅迫を受けていたという。彼女はNBCニュースに対し、「基本的に、分かりません。カバレッジ(保険の適用範囲)がなかったこと?」と語った。
ところで、これは実際の彼女の言葉だ。彼女がそれを疑問系で答えたということが、彼女が夫の略奪的な行動から心理的に隔離されていたということを雄弁に物語っている。まるでマフィアのボスの妻が、贈り物や金がどこから来ているのか深く考えないかのようだ。
X投稿の訳:
Tree Skrrrt:
爆笑。
殺害された医療保険会社CEOブライアン・トンプソンの妻は水曜日、夫がマンハッタンのミッドタウンで銃撃される前、脅迫を受けていたと語った。
「脅迫がいくつかありました」と、ポーレット・トンプソンさんは水曜日の早朝に夫が殺害されて以来、初めてNBCニュースにコメントした。
「基本的に、分かりません、カバレッジがなかったこと?」と、彼女は50歳の夫がユナイテッドヘルスケアの保険部門のCEOとしての役割のことを指して言った。
この事件が引き起こした議論は非常に興味深い。多くのオンライン投稿では、この殺人事件の被害者自身が殺人者だったこと、しかもどんな連続殺人犯や大量殺人犯よりもはるかに多くの命を奪っていたことが指摘されている。唯一の違いは、彼の「殺人方法」が法律によって保護されていた点にある。
この事実は、法制度が一般市民を社会で最悪の人物から守るために存在しているのではなく、むしろ社会で最悪の人物を一般市民から守るために存在していることを明確に示している。これは今、警察がブライアン・トンプソンの殺害犯を狂ったように(frenetic)追跡している一方、トンプソン自身は病気や負傷者にできる限り医療を提供しないという方針で利益を得た結果、途方もない富を築いて、自由の身で歩き回っていたことによく現れている。
世界最悪の人間たちは誰も刑務所にはいない。私たちは、映画やテレビ番組で、違法な方法で人を虐待し殺す悪者と戦う主人公のヒーローが描かれる物語を絶え間なく消費している。しかし、現実世界では、社会の本当の悪者たちは完全に合法的な方法で人々を虐待し殺している。彼らの悪行のどれも法律に違反していない。
今日、皆がアメリカの健康保険会社の殺人的な行いについて議論しているし、それは当然なのだが、利益のために人々を大量に殺し虐待しているのは巨大な医療企業だけではないということにも注目すべきだ。何十億ドルもの利益を上げる者は誰であれ、その帝国は一般市民の血と汗と涙の上に築かれている。少なくとも、彼らは不公正な社会経済システムを悪用して、法外な料金で世界中の人々から労働力を搾取している。なぜなら、誰もがお金が必要であり、ほとんどの人は、自分の労働力を売る以外に売るものがないという不運な状況で生まれてくるからだ。
労働者は、企業の利益を最大化するために最低限の報酬しか与えられず、ちょうど健康保険会社が利益を最大化するために保険請求を拒否するのと同じ方法で、膨大な数の人々が、過酷な貧困の中で働き続けさせられる。そして、貧困は命を奪う。これらの虐待は、グローバルサウスの住民に対してはさらに指数関数的な酷さで行われている。
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