【Overseas-29】スコット・リッター:イスラエル・イラン戦争の分析

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これは、6月17日に配信された Scott Ritter: Analysis of Israel/Iran War というタイトルの動画の全訳です。ナポリターノ判事のJudging Freedom チャンネルにスコット・リッターが招かれた回です。

約30分の会話を11個のセクションに分けて、見出しをつけました。それが下の目次です。
内容は、イスラエルがイラン奇襲攻撃を始めた背景、今後あり得る軍事的・政治的展開、大惨事を防ぐためにアメリカがするべきこと、そして、スコット・リッター個人が行っているアクションなど、多方面からイスラエル・イラン戦争を分析しているものです。最後にスコット・リッターが言う言葉は、日本人にとってもそのまま当てはまるので、日本にも届いてほしい言葉です。

「政府は我々のために存在しているのです。政府は我々に仕えるものなのです。」

目次

  1. 愛国者として
  2. トランプの小細工
  3. トランプという歩く恥
  4. トランプというへたれ
  5. 歴史に残り損ねた演説 
  6. 国際社会のダブル・スタンダード
  7. イラン外相の発言
  8. 偽旗作戦の可能性
  9. イスラエルは自国を守れるのか?
  10. 今、アメリカがするべきこと
  11. 対話のためのアクション

ナポリターノ判事:
スコット・リッター、ようこそ、我が友よ。イスラエルとイランの間で何が起きているのか、君に聞きたいことがたくさんある。でもその前に、ほんの数秒前に思いついたことなんだが、大きな視点で一つ聞かせてほしい。

男として、アメリカ人として、愛国者として、そして海兵隊員として――この状況全体をどう感じている?そして、この件でアメリカの兵士たちが危険にさらされるかもしれないという見通しについて、どう思う?

1. 愛国者として

スコット・リッター:
私は以前からはっきり言ってきました。自分の国を愛しています。そして、そのために命を捧げる覚悟もあります。私は、自分の国を運営する歴代政権の政策には、たびたび厳しい批判をしてきました。今の政権には、正直、恥ずかしさを感じています。

知らない人もいるかもしれませんが、私は昨年11月、あまりにも選択肢がなかったため、しぶしぶドナルド・トランプに投票しました。

そして最初の100日間は、彼がアメリカ国民に約束したさまざまなことを果たせるか見守り、熱心に支持していました。
その最も大きな約束が、「平和の大統領になる」というものでした。

私は実際にこの国のために戦争に行った人間であり、人々が戦争で払う代償をよく理解しています。だからこそ、私たちに敬意を表して奉仕してくれる男女を戦場に送り出す前に、あらゆる手段を尽くして戦争を避ける責任があると、私は心から思っています。

だから、ドナルド・トランプが繰り返し「自分は平和の大統領だ」と主張していたことに私は心を動かされたのです。彼は、果てしない戦争の連鎖からアメリカを抜け出させると語りました。ウクライナとロシアの間の戦争を終わらせようとすると語りました。

ですが、それらはすべて真実ではなかったことが明らかになりました。彼は、ウクライナとロシアの戦争を終わらせることができていません。なぜなら、彼はロシアについて何も知らず、知ろうとする気もないようだからです。

ご存知か分かりませんが、判事、国務省は今日、「ロシアとの関係正常化に向けた対話を継続しない」と発表しました。つまり、ロシアとの戦争を止められなかっただけでなく、平和への可能性を与えていた対話まで終わらせようとしているのです。

ナポリターノ判事:
正気の沙汰じゃない。彼は土曜日にプーチン大統領と「友好的な誕生日の挨拶の会話をした」と主張しているんだぞ。

2. トランプの小細工

スコット・リッター:
そうですね。再びこの男の矛盾点ですが……まあ、これは心理学者とかそういう人たちが論じるべきテーマです。私の給料レベルを超えています。この件に関しては、ジョー・バイデンがやった方がいいかもしれません。

でも、もっと恐ろしいのはこういう点です――この男は「中東における果てしない戦争の連鎖を終わらせたい」と言っていた人物です。そして、確かに彼の言う通り、それらの戦争は私たちに何兆ドルもの損失と、何千人もの命を奪い、何の成果も残さなかった。

この男は「イランと平和を築きたい」「交渉を通じてより良い合意を得たい」とも言っていました。ところが、現実はどうでしょう?

イスラエルはイランに対してパールハーバーのような奇襲攻撃を仕掛けてしまいました。

皆さんに思い出してほしいのですが、イスラエルの今回の行動を正当化できるような国際法上の根拠は、全くありません。完全に国際法違反です。それなのに、我々はこれを黙認し、支援している。そしてどうやら、大統領自身がこの作戦に関与していたようです。

つまり彼は、交渉というプロセスを利用して、イラン側に「安心してもよい」と錯覚させたのです。彼らは本気で「この男は合意を望んでいる」と信じ、実際に合意を結ぶ準備ができていたのです。

イラン最高指導者の最側近であり、この交渉プロセスの一員であったシャムハニ氏(Ali Shamkhani)は、この奇襲攻撃の数日前に「イランは核兵器を求めないことを明記した文書――合意・条約――に署名する準備がある」と述べていました。

彼らはその覚悟を持っていたのです。濃縮度を3.75%に制限する用意がありました。これは、ブシェール原子力発電所に必要な濃度です。アメリカ人査察官を含めた査察も受け入れるつもりでした。前代未聞の柔軟性です。前代未聞です!
イランは、核兵器を目指していないことを国際社会とアメリカに証明するために、できる限りのことをする覚悟だったのです。

そしてこの大統領は、イラン側、シャムハニ氏を含む交渉団に対して「それが彼の進もうとしている道だ」と信じ込ませました。しかし実際には、最初から彼らを安心させ、油断させていただけだったのです。

彼は笑い、誇りに思い、それを自慢していたのです。イスラエルの攻撃が始まったとき、「自分がそれを準備した」と。

シャムハニ氏は、この攻撃で他の交渉者たちと共に殺されました。トランプは、イランの交渉団をぶち壊したのです。

注:6月13日のイスラエルによるイラン奇襲攻撃では、多くの重要人物が殺された。スコット・リッターは、シャムハニ氏(Ali Shamkhani)も殺されたと言っているが、彼は負傷はしたものの一命をとりとめた。
主な犠牲者は以下のとおり。
◾️高官・軍司令官
・ホセイン・サラミ
(Hossein Salami)
 – IRGC(イスラム革命防衛隊)司令官(元司令官)
モハンマド・バゲリ(Mohammad Bagheri)
 – イラン軍参謀総長(武装勢力全体の最高幹部)
アミール・アリ・ハジザデ(Amir Ali Hajizadeh)
 – IRGC航空宇宙部隊司令官、ミサイル・ドローン計画のトップ
グラームアリ・ラシド(Gholam Ali Rashid)
 – Khatam‑al‑Anbiya 中央司令部司令官
◾️科学者・技術者
・フェレイドゥーン・アバシ
(Fereydoon Abbasi)
 – 元原子力機構長官・核科学者
モハンマド・メフディ・テフランチ(Mohammad Mehdi Tehranchi)
 – 理論物理学者、シャヒド・ベヘシュティ大学教授
・その他、少なくとも6名の核科学者が犠牲に
◾️民間人
イラン保健省によると、13日から15日までに約224名が死亡し、その約9割が民間人。

もう誰がドナルド・トランプを信用するというのでしょう?
私は信用しません。そして、アメリカ人の誰も信用すべきではありません。

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