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ほれ見たことか、トランプの掲げるAmerica First(アメリカ第一主義)が世界を混乱に陥れているという論調が、今の日本の「正しい空気」として世間を覆っているように見える。
やっぱりトランプは独裁者だったじゃないか、言論の自由が破壊された、と何故か得意気に語る声が、銭湯の湯に浸かってるおっさん達の呑気な鼻歌のように聞こえる。
トランプが何をしようが、し損ねようが、しょせんは遠いアメリカという国で起きていることだから、どうでもいい、で済むならよいかもしれない。しかし、済まない。日本も困ったことになる。
ほんの数時間前(この記事は4月21日に書いた)、ナポリターノ判事とジェフリー・サックス教授が話しているYouTubeチャンネルを見ていて、ぞっとした。トランプのAmerica First は崩壊寸前ではないか。
下の動画の9:28-12:51あたりを見て欲しい。
ナポリターノ判事が(この録画の)数時間前に行われたホワイトハウスの以下のような発表を紹介した。
トランプ政権の国家安全保障会議(NSC)のイスラエル及びイランを担当する責任者に、イスラエル国防省の元高官を採用した。
ん?
自分の耳を疑った。少し戻してもう一度聞いた(たいてい動画を流しながら他のことをしている)。ナポリターノ判事(N)とジェフリー・サックス教授(JS)のかなり熱いやりとりが続く。その部分を下に訳した。
N(ナポリターノ判事):
ワシントンのイスラエル・ロビーがどうやらフル稼働しているようです。ホワイトハウスがほんの1時間ほど前に、私は聞いたこともない人物を国家安全保障会議のイラン・イスラエル担当の責任者に任命すると発表しました。彼女の名前はメラヴ・セレン(Merav Ceren)です。
で、皆さんは「それは誰なんだ?」と思うかもしれません。彼女はアメリカとイスラエルの二重国籍者であり、イスラエル国防軍の元高官です。
では、なぜドナルド・トランプが、マイケル・ウォルツに対し、イスラエル国防省の元高官をアメリカ大統領に対してイランとイスラエルの関係を助言させるために雇うことを許可するのでしょうか?彼は、彼女からどんな助言を得られると考えているのでしょうか?
JS(ジェフリー・サックス教授):
ご覧の通りです。イスラエル・ロビーがどう機能しているか、もはや全然隠してもいません。
いっそ、イスラエル人そのものを国家安全保障会議に入れてしまえばいい。仲介役を全部省いてしまえるというわけです。
で、彼女は誰か? イスラエル生まれで、(あなたの言う通り)たぶん二重国籍者でしょう。私はその点の事実は知らないが、彼女はイスラエル国防省に勤務していたんですよ。それだけでなく、後にはテッド・クルーズのスタッフにも加わった。これが仕組みなんです。
テッド・クルーズは、イスラエル・ロビーから莫大な資金を受け取っている。これは事実で、選挙資金の記録を追跡している opensecrets.org によれば、最新の選挙周期において、イスラエル寄りのロビー団体から100万ドル以上を受け取っているはずです。
要するにこれは詐欺的な構造です。我々の政治家たちはイスラエル・ロビーに身売りしているのです。彼らが雇う人間は──いや、彼女がどんな人物か私はよく知らないが──少なくともイスラエル国防省で働いていたイスラエル国籍の持ち主のようです。
それだけでも十分ショッキングです。そして「アメリカ・ファースト」を掲げる大統領にとっては、完全に受け入れがたいことでしょう。
N:
彼女は国家安全保障クリアランスを得るのでしょうか? 国家安全保障会議での職務において国家機密にアクセスできるようになるのでしょうか?
彼女はまだイスラエル国防省に一定の忠誠心を抱いているかもしれないのに?
JS:
間違いないでしょう。ワシントンではすべてが売り物です──アメリカの外交政策ですらも。
イスラエルはその外交政策を掌握し、我々を次々と戦争に引きずり込んできた。
そして今日のこのニュース──信じがたいことです。
一体どうすれば我々はこの状況から抜け出せるのでしょうか?
「アメリカ・ファースト」はどこに行ったのか?
アメリカの利益のための外交政策はどこにあるのか?
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