【Caitlin’s】恐れるべきはイスラムではなく、アメリカ帝国だ

これは、Ray of Letters メンバーシップのメンバー限定記事です。詳しくは下記ボタンをクリックして、案内をご覧ください。

なぜ欧米はイスラム嫌悪を煽るのか?この問いは日本人にとっても他人事ではない。その理由は、日本にもイスラム嫌悪を煽る人たちがいるというだけでなく、宗教、国籍、人種、性別等々の属性によって人を区分けし、嫌悪あるいは憎悪を煽る人々が、一般人から政治家まで含めて、目立って来ているからだ。

この記事で、ケイトリンさんは、欧米でイスラム憎悪を煽る言説パターンをいくつも引用している。一見”正しそう”な物言いでイスラムを恐れさせ、嫌悪させるように導く言説だ。

ほとんどの日本人と同じようにイスラムに関する知識がせいぜい新聞・テレビやYouTubeの底の浅い動画を反復学習している程度でしかない欧米の一般人はそれを真に受け、なぜ自分たちの権力者がイスラム憎悪を煽っているのか考えが及ばない。そして、自分たちの不幸の原因を突き止めたかのように高揚して、イスラム憎悪をたぎらせる。

自然資源の最も豊かなアフリカから中東を経てアジアに広がるイスラム文明が500年に渡り、徹底的に収奪され、搾取され、破壊された結果が、自然資源も自然環境も貧しい西ヨーロッパへの富の異常な集積であることに少し注意を向ければ、現代世界の人口の移動もそれによる人口動態の変遷も起こり得ることが起きているだけのことだというのは理解できるはずだ。西欧によって破壊された人たちが再生を目指すのは異常ではなく、正常化の過程なのだ。

しかし、西欧は貧しい自然の小さな地域の中で、世界の富を収奪し続けるポジションに居続けるために、彼らが異物とみなしたものを排除するために暴力を使う。都合のよい口実をでっち上げてわざわざ出かけて行って爆撃さえする。そして、反撃されると、彼らをテロリストと呼ぶ。

アメリカを中心とする西欧国家は、自分たちが世界の頂点に君臨する構造がいまや変わりつつあることが受け入れられず、必死の抵抗を試みる。ケイトリンさんがこの記事で「イスラエルに反発する流れ」と表現するものは、世界の構造がもはや欧米頂点主義ではなくなってきたことの現れの一つだ。その流れを食い止めるために最も有効な手段として、彼らは「イスラム憎悪」を煽る。「そうか、イスラエルが悪いのではなくて、イスラムが悪いのだ」と思わせる。

そうすることで、目前のパレスチナに対する残虐行為から目を逸らせるだけでなく、欧米社会に対する非欧米社会(イスラムを含む)の挑戦という大きな構造変化からも注意を逸らすことが出来る。

それがケイトリンさんの西洋文脈での話だ。日本分脈で考えるべきことは、外国人の排斥を煽る権力者たちは、何を隠そうとしているのか、何から国民の注意を逸らそうとしているのかということだろう。

外国人を優遇している、外国人が日本の社会保障にただ乗りしている、外国人は日本人より犯罪を多く犯す等々の外国人叩きがー米兵に関するものを除きー全て根拠のないデマであることは多くの人によって既に示されているので、ここで繰り返さない。

もし「イスラム憎悪」や「外国人排斥」を煽る人々の言葉に快楽を覚える自分がいたなら、自分が何かを騙されていることを考えてみても遅くはない。

すみません、ここから先は、Caitlin's Newsletter 日本語版のメンバー専用エリアになってます。メンバーの方はログインすると読むことができます。

まだメンバーでない方は、こちらの案内をご覧ください。

★読んで良かったなと思ったら、投げ銭もお願いします!

  • Copied the URL !
  • Copied the URL !

Comments

To comment

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.