この記事を元にして書いた【Overseas】 ガザ、そして無力感についてもご一緒にどうぞ。
[原文情報]
タイトル:On Gaza And Feelings Of Powerlessness
著者:Caitlin Johnstone
配信日:Oct 27, 2024
著作権:こちらをご覧ください。
原文の朗読:こちらで聴けます。
あなたは無力感にさいなまれる。ガザやレバノンで人々が虐殺され、苦しめられているのを、自分の国の政府や同盟国が全面的に支援しているにもかかわらず、それを止めることができない。
それが、2024年のアメリカ大統領選挙における、アメリカが支援するイスラエルの残虐行為に関する中心的なメッセージだ。つまり、「あなたは、これを止めるには無力です」。誰が勝とうとも虐殺は続くのだから、ガザを救うのは諦めて、自分たちの利益を見ることに努力したほうがいい、というメッセージを、アメリカ人はさまざまな形で何度も何度も聞かされているのだ。
カマラ・ハリスがアメリカ人に、お手頃価格の食料品や妊娠中絶の権利といったものを望むのであれば、ガザ虐殺を継続することになっても自分に投票する必要があると言ったのは、そういうことだった。彼女は、「あなたは無力です。あなたにはもうできることはありません。これを止める方法はありません。どうしますか?トランプに投票しますか?彼も虐殺を続けるでしょう。第三政党の候補者に投票しますか?彼らは勝てないでしょう。私たちは、この虐殺を終わらせるためのすべての選択肢を閉ざしました。すべてのドアを閉め、鍵がかけました。もう出口はありませんから、リラックスして、この避けられない現実を受け入れた方がよいですよ」。
そして、ある意味、帝国の経営者たちが私たちにそう言うのは間違っていない。システムは、中東における彼らの大量虐殺の暴挙を阻止できないように積み重ねられている。投票によって解決することはできない。選挙で起こりうるすべての結果が、さらなる大量虐殺につながるように、不正義が内包されているのだ。虐殺を阻止するために革命を戦うこともできない。なぜなら、欧米人は現在、プロパガンダに踊らされすぎていて、十分な数を集めて蜂起をすることはできないし、したら殺されるからだ。兵器輸送を阻止したり、兵器メーカーに妨害工作をしたりといった直接的な行動も、かなりの刑期を覚悟しない限りはできない。
この現実は、大量虐殺に反対する人々に重くのしかかる。この悪夢を止めるために必要なことは何でもしているのに、それ以上のことをしない、あるいは自分の身体や命を危険にさらしていないという事実に対して、ネット上で活動家たちがブチ切れて、自分たちの味方の人々に怒りをぶつけているのを時々見かける。
それは、私たちが今置かれている状況に対する反応としては、まったく理解できるものだ。私たちは皆、この大量虐殺を終わらせ、帝国の血の海を止めるために出来ることは全てするべきであり、この前線でそれ以上のことをしている人々は称賛されるべきである。
しかし、この無力感や支配者たちからの「私たちは無力である」というメッセージの背後にある本当の教訓は、「私たちは無力である」ということそのものだと思う。より具体的に言えば、私たちは無力にされてしまったということだ。私たちの力は私たちから奪われ、力を持つべきでない人々にその力は与えられている。
それが、今回の大虐殺から我々が受け取るべきメッセージだ。つまり、私たちは、権力者によって、権力者の利益のために、多くの人々から権力を吸い上げ、少数の寡頭的権力者や帝国の経営者に与えるように操作された文明の中で生きているのだ。
私たちは無力にされているのだ。この事実を理解しない限り、私たちはこの問題に取り組むことはできない。このような殺人的残虐行為を終わらせるために、迅速かつ即座に利用可能な選択肢があるかのように自分たちを騙している限り、私たちは高度に統制された専制的ディストピアに住んでおり、国民は学校で教わったような力を持っていないという問題に対処し始めることはできないだろう。
もちろん、私たちは最も現実的な意味で力を持っている。寡頭的権力者や帝国の経営者よりも普通の人々の方がずっと多いのだから、私たちが十分な数で立ち上がれば、私たちが望むどんな変化も簡単に実行できるのだ。しかし、私たちが十分な数で立ち上がることができないのは、あまりにも多くの人々が、これまでに存在したことのないほど洗練されたプロパガンダ・マシンの助けを借りて、大量虐殺的、生態系破壊的、全人類殺戮的な現状が容認されると信じ込むよう、うまく洗脳されているからだ。
西洋人が西洋帝国の狂った行動に同意するよう、大規模な心理操作に成功している限り、私たちは完全に無力なのだ。彼らは私たち一人ひとりの首に鉄の鎖をかけ、私たち一人ひとりの脳にマインド・コントロール・チップを埋め込んでいるようなものだ。彼らがガザを民族浄化し、ノンストップで戦争を行い、ますます危険な核瀬戸際外交を行い、生存のために依存している生物圏を破壊するのを止めることはできない。
もし、革命的な変化は必要ないと私たちを操る条件付けを振り払う方法を見つけることができれば、何でも可能になる。もし、十分な数の人々が変革の緊急性に目覚めれば、全国的なストライキや大規模な市民的不服従のような集団的手段は、発砲することなく資本主義帝国を屈服させることができるだろう。私たちは、帝国が築かれている基礎である、すべての労働力と購買力を所有している。だからこそ、私たちがその力を決して利用しないようにするために、歴史的に前例のない量のプロパガンダが行われてきたのだ。
しかし、私たちが無力になるように設計された文明の中で生きているという現実を受け入れるまでは、そのようなことは起こらない。それまでは、「カマラに投票し、彼女を左派に押しやる」とか、「トランプに投票し、彼が予測不可能なことをするのを期待する」といったような、現在のシステムの中で何か意味のあることをする力が私たちにあるという幻想を煽るような、馬鹿げた戦略から抜け出すことは出来ない。
だから、この歴史的な瞬間の無力感に身を委ねましよう。それを人々に指摘しましよう。できる限り多くの方法で、人々に彼らの政治システムが権力者によって支配されていること、ニュースメディアが西洋帝国のプロパガンダ機関であること、そしてもし私たちが帝国の物語による支配の鎖を振り払って、普通の人々の利益を進めることを実現し始めることができれば、より良い世界が可能になることを示す手助けをしてください。
そのためには、あらゆる手段を自由に使うことができる。人々に語りかける、文献を配布する、ビデオを作る、TikTokのスキットを作る、ツイートをする、アートを作る、ミームを作る、壁に書く、ブログを書く、冊子を印刷する、地元紙の編集者に手紙を書く。まだ見ぬアイデアを、他の方法では出会うことのなかった人々の目や耳に届けるために、あなた独自のスキルや個人的な条件の中で、できることは何でもしてください。
何が起きているのか、より多くの目が開かれれば開かれるほど、他の人々の目を覚まさせるために働く手が増える。つまり、不可能に見えることから必然的に見えることへと、物事が急速に進む可能性があるのです。
人間の行動における肯定的な変化は、常に意識の拡大によってもたらされる。私たちが無力になるように設計された文明の中で生きているという事実に対する認識を広める手助けをすることで、私たちは、現実に起きていることに人々の目を覚まさせ、無力さを力に変えることができるのだ。帝国の無気力製造能力は、このようにして帝国に対抗する武器となり、帝国を崩壊させることができる。
もちろん、私がここで述べていることは、今この瞬間においてパレスチナやレバノンの人々にとって何の役にも立たないことです。今日、私たちは今起きていることを止めるには無力で、それは本当に最悪で、胸が痛みます。
これに押しつぶされるのではなく、その感情が私たちを包み込むままにして、この感情が言いたいことがすべて伝わるまでしっかり感じ切るのです。感情は感じるためにあるものです。もし感情をコントロールしたり、考えで再解釈しようとせずにただその感情と一緒に座り、身を任せると、しばらくすると自然に落ち着きます。
私たちは大量虐殺について平気だと感じてはいけない。私たちが見ているものに嫌悪感を抱いているという事実は、私たちが健全な共感性を持った感情的に健康な人間であるということを物語っており、いつの日か健全な世界を築くためには、それが必要なのだ。
だから、無力感を感じているなら、無力感を感じればいい。悲しみを感じているなら、悲しみに身を任せればいい。怒りを感じているなら、怒りに身を任せればいい。動くな。話すな。考えるな。ただ感じろ。泣け。呻け。叫べ。感情のエネルギーの中に勇気をもって座り、自分の中に声を与えれば、そのメッセージが伝われば、感情は動き出す。
感情を感じきったら、立ち上がってするべきことに戻ろう。
私たちには救うべき世界がある。
Caitlin Johnstone
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