【Caitlin’s】『存在する権利』という暴力――イスラエル

これは、Ray of Letters メンバーシップのメンバー限定記事です。詳しくは下記ボタンをクリックして、案内をご覧ください。

記事に入る前の解説

現在の世界、特に欧米世界の言論環境の中で、この記事を投下するケイトリンさんの勇気と覚悟にまず衝撃を受けた。我々は、今、少しでもイスラエルに関してネガティブな要素が入った言葉を発すれば、反ユダヤ主義(Anti-semitism)というレッテルを貼られ、吊るし上げられ、暴力的に扱われ、拘束されることすらあるフェーズにはまり込んでいる。

そんな状況下で、ケイトリンさんが、一見すると「反ユダヤ主義(Anti-semitism)」に見えるかもしれない、いやそう決めつける人が絶対に出てくるであろうことをあえて記事にした理由を理解するために、まず反ユダヤ主義(Anti-semitism)という言葉について説明しておきたい。

反ユダヤ主義(Anti-semitism)

本来これは、ユダヤ人という民族・宗教集団に対する差別や迫害を指す言葉であり、その歴史は長く、そして重い。ヨーロッパにおける宗教的偏見から近代の人種主義へと形を変え、最終的にはナチズムによるホロコーストという極限に至った。この事実は動かしようがない。

民族と国家

ただし、ここで一度立ち止まる必要がある。
ユダヤ人と、イスラエルという国家は同じものではない。イスラエルは1948年に成立した近代国家であり、ユダヤ人はそれよりはるか以前から世界各地に存在してきた多様な人々だ。この区別が曖昧になると、「国家に対する批判」が「民族への差別」にすり替えられる。

すり替え

そして、このすり替えは現実に起きている。

イスラエルという国家は、19世紀末に生まれたシオニズムという運動の延長線上にある。それは、反ユダヤ主義から逃れるための民族的自決という側面を持ちながら、同時に、すでに人が住んでいる土地に新しい国家を作るという問題を最初から抱えていた。

1948年の建国は、その矛盾をそのまま現実化した出来事だった。国家は成立したが、その過程で多くのパレスチナ人が土地を追われ、難民となり、その問題は現在まで続いている。

その後の歴史もまた、この構造を引きずっている。戦争、占領、入植の拡大。安全保障という名目と、支配の現実が分かちがたく絡み合いながら、現在に至っている。

こうした流れの中で、宗教的・政治的な文脈から「より広い領域」を正当化する発想も繰り返し現れてきた(大イスラエル(Greater Israel)構想)。公式な政策であるかどうかに関わらず、現実の動きとしては、領土と支配の拡張が続いている。

言論の封殺

そして今、別の問題が重なっている。

イスラエルという国家に対する批判そのものが、「反ユダヤ主義」という言葉で封じられる場面が言論空間を覆い始めているということだ。議論はしばしば、事実や構造の検討ではなく、道徳的なレッテル貼りに置き換えられる。

だが、ここで問われているのは本来、もっと単純なはずだ。

ある前提がある。その前提が、どのような現実を生んでいるのか。このケイトリンさんの記事は、その前提そのものを問い直している。

対象は民族ではない。宗教でもない。  国家の構造と、それを支える考え方だ。そこを取り違えた瞬間に、議論は終わる。

帝国主義の残滓

さらにここで、もう一つ非常に重要な背景がある。

それは、地中海沿岸のシリア、レバノン、イスラエル、パレスチナから、内陸からペルシャ湾沿岸までを含むイラク、クウェート、サウジアラビア、オマーン、バハレーン、UAE、カタール、イランの諸国が成立した環境に決定的な影響を及ぼした歴史がある。欧米による中東の植民地支配だ。

1948年のイスラエル建国は、まったくのゼロから生まれたものではない。 その前段には、イギリスによる委任統治という形の植民地支配があった。この地域をめぐってイギリスは、少なくとも三つの異なる約束を同時に進めている。  

アラブ側には独立を示唆し(フセイン・マクマホン書簡)、ユダヤ人国家の建設を支持し(バルフォア宣言)、さらに英仏露のあいだでは、この地域を戦後に分割する秘密合意まで結んでいた(サイクス・ピコ協定)。
これは互いに両立しない約束を重ねた、典型的な「三枚舌外交」だった。

そして最終的に、その矛盾を解決することなくイギリスは撤退し、問題は国連に委ねられる。  その結果として提示された分割案は、すでに人が住んでいる土地に新たな国家を線引きで重ねるものだった。1948年のイスラエル建国はその延長線上にある。

つまり、衝突は後から起きたのではない。  
最初から埋め込まれていた。


それでは、ケイトリンさんの記事をどうぞ。


『存在する権利』という暴力――イスラエル

[原文情報]
タイトル:“Israel Has A Right To Exist” Is Psychopathic Bullshit
著者:Caitlin Johnstone
配信日:MAR 26, 2026
著作権:こちらをご覧ください。
原文の朗読:こちらで 聴けます。

すみません、ここから先は、Caitlin's Newsletter 日本語版のメンバー専用エリアになってます。メンバーの方はログインすると読むことができます。

まだメンバーでない方は、こちらの案内をご覧ください。

*読んで良かったなと思ったら、投げ銭もお願いします

  • Copied the URL !
  • Copied the URL !

Comments

To comment

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.