これは、Ray of Letters – Overseas プランのメンバー限定記事ですが、まだ始めたばかりなので、サンプルとしてメンバーでなくても誰でも見れるようにしました。
今回は、Caitlin Johnstone のOn Gaza And Feelings Of Powerlessness についてです。繊細でありながら、とてもパワフルな記事です。一番下に全訳をつけています。
ガザ、そして無力感について
窒素と酸素と無力感
今日(10月27日)、衆議院選挙の日、ケイトリンさんの新しいポストが届いていた。かなり長い。第一文目の「あなたは無力感にさいなまれる(It’s the sense of powerlessness that gets to you.)」を見て、おーっとなる。無力感という言葉を新鮮に感じている自分に気がついた。そんな使い古した言葉に。
10代の頃を思春期とか青春とか呼ぶことが多いけれど、そういう時期の付属物のように無力感という言葉は日常にまとわりついて、僕は無力感と親しい関係を築いていた。この世に対する漠然とした無力感がドラマチックに現れる年頃。無力感が一種の興奮として自分の人生の中に、ある位置を占め始める。”興奮する無力感”とはなんとも語義矛盾なのだが、10代の頃の感情のほとんどはそんなものだった。
やがてそんな胸踊る憂鬱のような感情は消えてなくなり、無力感という言葉そのものが無力になっていく。そこらにいつでも置きっ放しにされ、誰にも気づかれないもの。陳腐化して擦り切れて、皆に打ち捨てられた無力感。いつの間にか、無力感は窒素と酸素といっしょになって空気の構成物の一つになっていた。
今回のケイトリンさんの記事、On Gaza And Feelings Of Powerlessness を読み始めて、はっと思い出したのだった。あの無力感は元気にしているだろうかと。そう言えば、今日は選挙の日だ。無力感の出番の日だった。
ケイトリンの「ガザ、そして無力感について」
無力感と無力
一年以上続く、虐殺を止められないという現実の前に、今、世界中の多くの人が徹底的な無力感にさいなまれている。我々は無力なのだというメッセージを毎日毎日、これでもか、これでもかとテキストと画像とビデオで頭に叩き込まれる。他人(ひと)の物を壊してはいけない、盗んではいけない、他人(ひと)に危害を加えてはいけない、拷問してはいけない、強姦してはいけない、殺してはいけない等という人類共通のルール(とつい最近まで信じられていたもの)が、毎日完膚なきまで破壊され、それを止められない。問題は、無力感ではなく、無力そのものなのだ。
この記事で、ケイトリンさんは、powerlessness(無力)という単語を6回使っている。彼女は記事を書く時、たいていの場合、なんらかの出来事を取り上げ、その意味を解釈し、分析し、読者にシェアするというスタイルを取っている。彼女が、Caitlin’s Newsletter で何をしようとしているかを説明している文章があるのだが、それを読むと、彼女が「人類の意識を覚醒させ、健全な世界とはどのようなものかという私の理解」を広めたいんだということが分かる。なぜそんなことをしてるかのか?彼女は「現在私たちの種が直面している大きな問題はすべて、現実に起きていることに対する誤った認識から生まれているから」と理解しているからだ。その点では、おこがまし過ぎてヘソが茶を沸かすレベルだが、僕が Ray of Letters メンバーシップで企んでいることと共通している。
しかし、今回の記事を読み始めて、おや?と思ったのは、今回は少しスタイルが違ったからだ。この記事では、彼女はなんらかの出来事そのものを論評するのではなく、その外にいる世界の人々について書いている。彼女の読者は全世界に数百万いる。その人たちのことを書いているのだ。
ガザの虐殺に憤るという自然な反応が、まるで夢を語る子どもに下世話な利得だけが価値だと思っている大人が「そんな大きなこと考えずに、堅実な人生を歩みなさい」などと諭すように、軽々しく取り扱われる。ケイトリンさんは、最近のCNNのインタビューで、ガザ虐殺のことをふられたカマラ・ハリスが「それよりも日常の食料品の値段や中絶の権利の方が大事だから、そっちのことを考えて」と答えて、質問したアンダーソン・クーパーを固まらせた例を挙げている。食料品の値段も中絶の権利も大事であることには誰も異論はないだろう。しかし、なんの罪もない子供達が最も残虐なやり方で計画的に飢えさせられ、爆薬で身体を吹き飛ばされ、大人の男も女も拷問され、強姦され、生きたまま焼き殺される、それを止めることが出来ないという事態より深刻なことがこの世にあるのだろうか?
カマラ・ハリスを攻撃することが、ケイトリンさんの意図ではない(ここでも、また他の記事でも、ケイトリンさんは、”ハリス対トランプ”という対抗軸を徹底的に拒否する。そこに足をすくわれると問題の本質を見誤るからだ。まったく同感)。現在の世界において、ハリスが特殊なのではなく、今我々が直面している問題が特殊なのだということに、ケイトリンさんは注意を促そうとしている。人類にとって最も根本的な価値として信じられていたはずのことをなかったことにして、せいぜい身の回り50センチくらいのことに専念しなさいという処世観に、人類が数千年に渡って積み上げてきた巨大な思想の構築物がいとも簡単に噴き飛ばされるという人類史的な危機の中に我々はいる。しかし、我々の生活は「何やっても無駄だから、今日のお夕飯は何にしましょう」に支配されている。無力感の源泉はそこにある。
余談になるが、11月3日に予定している「LIVE 71 ヨーロッパの死」は、この崩壊する巨大な思想の構築物について考える。
不可能性
おかしい。それでもなんとかできないのか。多くの人がこんな状況に抗っている。実際、世界中で何百万人もの人が街頭にくりだし、イスラエルによるパレスチナ人の虐殺に反対するデモをしている。しかし、大虐殺は止まらない。ケイトリンさんは、我々の道がいかに閉ざされているのかを徹底的に記述している。
投票によって解決することはできない。選挙で起こりうるすべての結果が、さらなる大量虐殺につながるように、不正義が内包されているのだから。虐殺を阻止するために革命を戦うこともできない。なぜなら、欧米人は現在、プロパガンダに踊らされすぎていて、十分な数を集めて蜂起をすることはできないし、したら殺されるからだ。兵器輸送を阻止したり、兵器メーカーに妨害工作をしたりといった直接的な行動も、かなりの刑期を覚悟しない限りはできない。
On Gaza And Feelings Of Powerlessness
これでは何もできない。民主主義の看板である選挙も、正義の回復を目指す革命も、生きた血の流れる労働者によるサボタージュも一切が役立たずだ。つまり、現実的に虐殺を止めるための力が我々にはない。無力感ではなく、完全な無力をケイトリンさんは確認する。そして、我々は苛立つ。その苛立ちは、虐殺者だけでなく、同様に無力感にさいなまれている仲間であるべき人たちにも向けられる。挙げ句の果てにどうなるかを彼女は誠実に描写している。
この現実は、大量虐殺に反対する人々に重くのしかかる。この悪夢を止めるために必要なことは何でもしているのに、それ以上のことをしない、あるいは自分の身体や命を危険にさらしていないという事実に対して、ネット上で活動家たちがブチ切れて、自分たちの味方の人々に怒りをぶつけているのを時々見かける。
On Gaza And Feelings Of Powerlessness
このような怒りを仲間である人たちにぶちまける仕草を日本語Xでも見ることが出来る。日本のあれやこれやの政治状況(例えば、今回の衆院選)について語る場が仲間割れの場に変わっていくことは珍しくない。「自分はビラを配ったが、お前は何もしていない」的な小さな、小さな優越の誇示が他者の萎縮化と序列化の道具として使われ、皆で倒そうとしていた敵と相似形のミニ階級社会を仲間内に作り、そうやって日本の市民運動はしばしば失速し、墜落する。日本人の意識の奥底深くに植え込まれた序列意識が日本を決して飛び立たせない。
また余談だが、れいわ新選組の困難はそこにある。山本太郎の言動、立ち居振る舞い、街頭での見知らぬ通行人との質疑応答を見るかぎり、彼は人間関係のモードそのものを変革しようとしている。彼は人間関係における序列を廃し、すべての人間とフラットに対応しようとする。しかし、多くの、いやほとんどの日本人はそれに対応出来ない。例えば、お客さん意識や優越意識を持っている者には、彼は傲慢と見える。もちろんれいわの熱烈な支持者の中にも、それが理解できない人がいても不思議はない。人間関係のモードは頭ではなく、身体で覚えるしかないものなので浸透は難しく、時間がかかる。だから、れいわ内部での軋轢は起こり続ける。しかし、それこそがれいわが存在することの効用なのだ。実践によって人間の社会は変わっていく。れいわ新選組という運動体が、痛みに耐えて生き残ることを祈願するしかない。
彼女はそれでも理解を示す。無力感に打ちひしがれる人にも、怒りをぶちまける人にも同様の理解を示す。無力感にさいなまれているのではなく、まず「我々は無力であることにされている」ことを認識しようとケイトリンさんは呼びかける。まず、その構造を理解しよう、話はそれからだ、ということだ。
現在進行中の残虐行為を終わらせるための「迅速かつ即座に利用可能な選択肢」があるかのように語る人々について、彼女は、そういう態度を「我々が高度に統制された専制的ディストピアに住んでいることに目を瞑り、自分を騙している」として目もくれない。学校で教わったようなことで対処できるなら、そもそも我々が今呻吟するような問題はなかったはずだ。
我々の強さ
ここから記事のクライマックスに入っていく。最も単純で明白な現実に我々の力の源泉があることをケイトリンさんは指摘する。つまり、我々は、少数の権力者とは全く比較にならないレベルで圧倒的な人数だという事実。
もちろん、私たちは最も現実的な意味で力を持っている。寡頭的権力者や帝国の経営者よりも普通の人々の方がずっと多いのだから、私たちが十分な数で立ち上がれば、私たちが望むどんな変化も簡単に実行できるのだ。
(注)ここで、oligarchsという言葉をオリガルヒと訳してしまうとソ連崩壊後のオリガルヒを連想させてしまい、なんのことか分からなくなるので「寡頭的権力者」と訳した。
On Gaza And Feelings Of Powerlessness
そして、彼女は言う。
私たちは、帝国が築かれている基礎である、すべての労働力と購買力を所有している。
On Gaza And Feelings Of Powerlessness
つまり、全人類の圧倒的多数である我々一般人がいなければ、この世界の動きは停止してしまうのだということをケイトリンさんは言っている。それが我々の強さなのだと。
ここで、また少し脇道にそれるが、16世紀に書かれたエティエンヌ・ド・ラ・ボエシ(Étienne de La Boétie)の『自発的隷従論』を思い出す。当時大学生であったボエシは、たった一人の国王になぜ大勢の人々が黙って服従しているのかを疑問に思い、それを解明しようとする。彼の観察する当時のフランスの社会は以下のようなものだった。
圧政者のまわりにいるのは、こびへつらい、気を引こうとする連中である。この者たちは、圧政者の言いつけを守るばかりでなく、彼の望む通りにものを考えなければならないし、さらには、彼を満足させるために、その意向をあらかじめくみとらなければならない。連中は、圧政者に服従するだけでは十分ではなく、彼に気に入られなければならない。彼の命に従って働くために、自分の意志を捨て、自分をいじめ、自分を殺さなければならない。彼の快楽を自分の快楽とし、彼の好みのために自分の好みを犠牲にし、自分の性質をむりやり変え、自分の本性を捨て去らねばならない。彼のことば、声、合図、視線にたえず注意を払い、望みを忖度し、考えを知るために、自分の目、足、手をいつでも動かせるように整えておかねばならない。
まるで、現在の日本社会そのものではないか。500年前のフランスは今の日本のような忖度社会だったとは。そんな時代に、ボエシは、大勢の群衆の一人一人が「もう王に隷従はしない」と決意したらどうなるか?という問いを投げる。戦えと言ってるわけではない。もう支えないとしたらということだ。そうすれば、王という地位は、土台を失い、みずからの重みによって崩れ落ちていくだろうと。
『自発的隷従論』は友人のモンテーニュのアドバイスで、ボエシが生きている間には出版されなかった。彼の身に危険が及ぶことをモンテーニュは心配したからだ。しかし、それから200年経ち、出版され、フランス革命前史の一部を形成していく。この本については、いずれ「本の紙魚/旅」の方で書こうと思うので、この話はここで止めて元に戻る。
我々の強さは分かったとしよう。では、なぜ我々は無力なままなのか?彼女は次のように言う。
しかし、私たちが十分な数で立ち上がることができないのは、あまりにも多くの人々が、これまでに存在したことのないほど洗練されたプロパガンダ・マシンの助けを借りて、大量虐殺的、生態系破壊的、全人類殺戮的な現状が容認されると信じ込むよう、うまく洗脳されているからだ。
On Gaza And Feelings Of Powerlessness
ここにケイトリンさんが書き続け、発信し続ける理由がある。つまり、我々は無知の闇に縛り付けられているから、我々は自分の力を使うことが出来ないのだと。権力者は、大規模な心理操作に成功している限り、我々は完全に無力でい続ける。
革命的な変化は必要ないと私たちを操る条件付けを振り払う方法を見つけることができれば、何でも可能になる。もし、十分な数の人々が変革の緊急性に目覚めれば、全国的なストライキや大規模な市民的不服従のような集団的手段は、発砲することなく資本主義帝国を屈服させることができるだろう。
On Gaza And Feelings Of Powerlessness
救うべき世界
ここまで読んで、なんだ、ケイトリンさんは、闘争を呼びかける檄文を書いたのかと思わせてしまったら、それは僕の文章の不味さのせいだ。我々は既に無力感に十分傷ついている。彼女はそれを十分に知っている。それは、おそらく、いや確実に彼女自身が十分以上に傷ついているからだと思う。彼女は我々の傷口に塩をぬるのではなく、我々が「権力者によって、権力者の利益のために、多くの人々から権力を吸い上げ、少数の寡頭的権力者や帝国の経営者に与えるように操作された文明」の中で生かされていることに気がつくだけで、無力ではなくなることを伝えようとしている。
しかし、無力感に沈んでいる我々を責めるわけでもないし、急き立てもしない。感情を感情として生かしてやれと言う。
だから、無力感を感じているなら、無力感を感じればいい。悲しみを感じているなら、悲しみに身を任せればいい。怒りを感じているなら、怒りに身を任せればいい。動くな。話すな。考えるな。ただ感じろ。泣け。呻け。叫べ。感情のエネルギーの中に勇気をもって座り、自分の中に声を与えれば、そのメッセージが伝われば、感情は動き出す。
On Gaza And Feelings Of Powerlessness
この一年ガザで起きていることが様々な反応を喚起し、様々な論考が現れるのを見てきた。政治学者、法学者、哲学者、歴史学者、ジャーナリスト、役人、政治家などが、それぞれの視角から、それぞれのアプローチで、今人類に何が起きているのかを解釈し、分析する。
しかし、ケイトリンさんはこの記事で感情を主題にした。そんなアプローチは初めて見た。どこかにいる見知らぬ第三者の感情ではなく、彼女の記事を読んでいる人の、そして回り回って今これを読んでいるあなたの感情の問題として彼女は書いている。しかし、それは彼女に取って当たり前のことなのだろう。今、破壊されつつあるのは地球上のどこか一点でも、ある一つの集団でもなく、人類全体なのだから。
最後に彼女はいう。感情を感じきったら、立ち上がろう、と。
なぜなら、私たちには救うべき世界があるから。
ー END ー
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日本語訳:ガザ、そして無力感について
これは、Caitlin Johnstone “On Gaza And Feelings Of Powerlessness” Oct 27, 2024 を訳したものです。DeepL もしくは、ChatGPT を使って下訳を作り、その日本語と原文を対照して、明らかな誤訳や、日本語として不自然な表現を直していきました。
あなたは無力感にさいなまれる。ガザやレバノンで人々が虐殺され、苦しめられているのを、自分の国の政府や同盟国が全面的に支援しているにもかかわらず、それを止めることができない。
それが、2024年のアメリカ大統領選挙における、アメリカが支援するイスラエルの残虐行為に関する中心的なメッセージだ。つまり、「あなたは、これを止めるには無力です」。誰が勝とうとも虐殺は続くのだから、ガザを救うのは諦めて、自分たちの利益を見ることに努力したほうがいい、というメッセージを、アメリカ人はさまざまな形で何度も何度も聞かされているのだ。
カマラ・ハリスがアメリカ人に、お手頃価格の食料品や妊娠中絶の権利といったものを望むのであれば、ガザ虐殺を継続することになっても自分に投票する必要があると言ったのは、そういうことだった。彼女は、「あなたは無力です。あなたにはもうできることはありません。これを止める方法はありません。どうしますか?トランプに投票しますか?彼も虐殺を続けるでしょう。第三政党の候補者に投票しますか?彼らは勝てないでしょう。私たちは、この虐殺を終わらせるためのすべての選択肢を閉ざしました。すべてのドアを閉め、鍵がかけました。もう出口はありませんから、リラックスして、この避けられない現実を受け入れた方がよいですよ」。
そして、ある意味、帝国の経営者たちが私たちにそう言うのは間違っていない。システムは、中東における彼らの大量虐殺の暴挙を阻止できないように積み重ねられている。投票によって解決することはできない。選挙で起こりうるすべての結果が、さらなる大量虐殺につながるように、不正義が内包されているのだ。虐殺を阻止するために革命を戦うこともできない。なぜなら、欧米人は現在、プロパガンダに踊らされすぎていて、十分な数を集めて蜂起をすることはできないし、したら殺されるからだ。兵器輸送を阻止したり、兵器メーカーに妨害工作をしたりといった直接的な行動も、かなりの刑期を覚悟しない限りはできない。
この現実は、大量虐殺に反対する人々に重くのしかかる。この悪夢を止めるために必要なことは何でもしているのに、それ以上のことをしない、あるいは自分の身体や命を危険にさらしていないという事実に対して、ネット上で活動家たちがブチ切れて、自分たちの味方の人々に怒りをぶつけているのを時々見かける。
それは、私たちが今置かれている状況に対する反応としては、まったく理解できるものだ。私たちは皆、この大量虐殺を終わらせ、帝国の血の海を止めるために出来ることは全てするべきであり、この前線でそれ以上のことをしている人々は称賛されるべきである。
しかし、この無力感や支配者たちからの「私たちは無力である」というメッセージの背後にある本当の教訓は、「私たちは無力である」ということそのものだと思う。より具体的に言えば、私たちは無力にされてしまったということだ。私たちの力は私たちから奪われ、力を持つべきでない人々にその力は与えられている。
それが、今回の大虐殺から我々が受け取るべきメッセージだ。つまり、私たちは、権力者によって、権力者の利益のために、多くの人々から権力を吸い上げ、少数の寡頭的権力者や帝国の経営者に与えるように操作された文明の中で生きているのだ。
私たちは無力にされているのだ。この事実を理解しない限り、私たちはこの問題に取り組むことはできない。このような殺人的残虐行為を終わらせるために、迅速かつ即座に利用可能な選択肢があるかのように自分たちを騙している限り、私たちは高度に統制された専制的ディストピアに住んでおり、国民は学校で教わったような力を持っていないという問題に対処し始めることはできないだろう。
もちろん、私たちは最も現実的な意味で力を持っている。寡頭的権力者や帝国の経営者よりも普通の人々の方がずっと多いのだから、私たちが十分な数で立ち上がれば、私たちが望むどんな変化も簡単に実行できるのだ。しかし、私たちが十分な数で立ち上がることができないのは、あまりにも多くの人々が、これまでに存在したことのないほど洗練されたプロパガンダ・マシンの助けを借りて、大量虐殺的、生態系破壊的、全人類殺戮的な現状が容認されると信じ込むよう、うまく洗脳されているからだ。
西洋人が西洋帝国の狂った行動に同意するよう、大規模な心理操作に成功している限り、私たちは完全に無力なのだ。彼らは私たち一人ひとりの首に鉄の鎖をかけ、私たち一人ひとりの脳にマインド・コントロール・チップを埋め込んでいるようなものだ。彼らがガザを民族浄化し、ノンストップで戦争を行い、ますます危険な核瀬戸際外交を行い、生存のために依存している生物圏を破壊するのを止めることはできない。
もし、革命的な変化は必要ないと私たちを操る条件付けを振り払う方法を見つけることができれば、何でも可能になる。もし、十分な数の人々が変革の緊急性に目覚めれば、全国的なストライキや大規模な市民的不服従のような集団的手段は、発砲することなく資本主義帝国を屈服させることができるだろう。私たちは、帝国が築かれている基礎である、すべての労働力と購買力を所有している。だからこそ、私たちがその力を決して利用しないようにするために、歴史的に前例のない量のプロパガンダが行われてきたのだ。
しかし、私たちが無力になるように設計された文明の中で生きているという現実を受け入れるまでは、そのようなことは起こらない。それまでは、「カマラに投票し、彼女を左派に押しやる」とか、「トランプに投票し、彼が予測不可能なことをするのを期待する」といったような、現在のシステムの中で何か意味のあることをする力が私たちにあるという幻想を煽るような、馬鹿げた戦略から抜け出すことは出来ない。
だから、この歴史的な瞬間の無力感に身を委ねましよう。それを人々に指摘しましよう。できる限り多くの方法で、人々に彼らの政治システムが権力者によって支配されていること、ニュースメディアが西洋帝国のプロパガンダ機関であること、そしてもし私たちが帝国の物語による支配の鎖を振り払って、普通の人々の利益を進めることを実現し始めることができれば、より良い世界が可能になることを示す手助けをしてください。
そのためには、あらゆる手段を自由に使うことができる。人々に語りかける、文献を配布する、ビデオを作る、TikTokのスキットを作る、ツイートをする、アートを作る、ミームを作る、壁に書く、ブログを書く、冊子を印刷する、地元紙の編集者に手紙を書く。まだ見ぬアイデアを、他の方法では出会うことのなかった人々の目や耳に届けるために、あなた独自のスキルや個人的な条件の中で、できることは何でもしてください。
何が起きているのか、より多くの目が開かれれば開かれるほど、他の人々の目を覚まさせるために働く手が増える。つまり、不可能に見えることから必然的に見えることへと、物事が急速に進む可能性があるのです。
人間の行動における肯定的な変化は、常に意識の拡大によってもたらされる。私たちが無力になるように設計された文明の中で生きているという事実に対する認識を広める手助けをすることで、私たちは、現実に起きていることに人々の目を覚まさせ、無力さを力に変えることができるのだ。帝国の無気力製造能力は、このようにして帝国に対抗する武器となり、帝国を崩壊させることができる。
もちろん、私がここで述べていることは、今この瞬間においてパレスチナやレバノンの人々にとって何の役にも立たないことです。今日、私たちは今起きていることを止めるには無力で、それは本当に最悪で、胸が痛みます。
これに押しつぶされるのではなく、その感情が私たちを包み込むままにして、この感情が言いたいことがすべて伝わるまでしっかり感じ切るのです。感情は感じるためにあるものです。もし感情をコントロールしたり、考えで再解釈しようとせずにただその感情と一緒に座り、身を任せると、しばらくすると自然に落ち着きます。
私たちは大量虐殺について平気だと感じてはいけない。私たちが見ているものに嫌悪感を抱いているという事実は、私たちが健全な共感性を持った感情的に健康な人間であるということを物語っており、いつの日か健全な世界を築くためには、それが必要なのだ。
だから、無力感を感じているなら、無力感を感じればいい。悲しみを感じているなら、悲しみに身を任せればいい。怒りを感じているなら、怒りに身を任せればいい。動くな。話すな。考えるな。ただ感じろ。泣け。呻け。叫べ。感情のエネルギーの中に勇気をもって座り、自分の中に声を与えれば、そのメッセージが伝われば、感情は動き出す。
感情を感じきったら、立ち上がってするべきことに戻ろう。
私たちには救うべき世界がある。
Caitlin Johnstone
原文:On Gaza And Feelings Of Powerlessness
It’s the sense of powerlessness that gets to you. Watching all these people being slaughtered and tormented in Gaza and in Lebanon with the full support of your own government and its allies, but being unable to stop it.
That’s basically been the main message of the 2024 US presidential election with regard to Israel’s US-backed atrocities: “You are powerless to stop this.” Over and over again in various ways Americans are being fed the message that the slaughter is going to continue regardless of who wins, so you may as well give up on saving Gaza and try to look out for your own interests.
That was what Kamala Harris was saying when she told Americans that they need to vote for her, even though she will continue the Gaza genocide, if they want things like affordable groceries and abortion rights. She was saying, “You are powerless. There is nothing you can do to stop this. What are you going to do, vote for Trump? He’ll continue the genocide too. Vote for a third party candidate? They can’t win. We’ve closed off all the options by which you might try to end this. We’ve shut and locked all the doors. There’s no way out. You might as well relax and submit to the inevitable.”
And, in a sense, the empire managers are not wrong when they tell us this. The system is stacked to prevent us from stopping their genocidal rampage in the middle east. You can’t vote your way out of it; they’ve rigged it so all possible results of the election lead to more genocide. You can’t fight a revolution to stop it; westerners are currently too propaganda-addled to rise up in sufficient numbers to join you, and you’d just get killed. You can’t even engage in direct action like blocking the weapons shipments and sabotaging the arms manufacturers unless you’re prepared to do some serious prison time.
This reality weighs heavily on those who oppose this genocide. I sometimes see activists online snapping and lashing out at people on their side over the fact that they’re not doing more, not putting their bodies and lives on the line, not doing whatever it takes to stop this nightmare.
Which is an entirely understandable response to the situation we now find ourselves in. We should all be doing everything we can to end this genocide and stop the empire’s bloodbath, and those who are going above and beyond on this front should be commended.
But I think the real lesson behind this feeling of powerlessness and the message from our rulers that we are powerless to stop them is just that: that we are powerless. Or, more specifically, that we have been made powerless. That our power has been taken from us, and given to people who should not have power.
That’s the message we should be taking from all this: that we are living in a civilization that has been rigged by the powerful, for the benefit of the powerful, to siphon power away from the many to and give it to a few oligarchs and empire managers.
We have been made powerless. Until we get real about this fact, we won’t be able to address it. As long as we’re still fooling ourselves into thinking there’s a swift and immediately available option for us to end these murderous atrocities, we won’t be able to begin addressing the problem that we live in a highly controlled tyrannical dystopia where the people do not have the kind of power we’re taught we have in school.
Of course we do have power in the most real sense: there are a whole lot more normal people than there are oligarchs and empire managers, and we could easily implement any changes we wanted to if we rose up in sufficient numbers.
But we’re not rising up in sufficient numbers because far too many of us have been successfully indoctrinated into believing our genocidal, ecocidal, omnicidal status quo is acceptable, with the help of the most sophisticated propaganda machine that has ever existed.
As long as westerners are being successfully psychologically manipulated at mass scale into consenting to the insane behavior of the western empire, we are completely powerless. They may as well have steel chains around each of our necks and mind control chips in each of our brains. There is nothing we can do to stop them from ethnically cleansing Gaza, waging nonstop wars, engaging in increasingly dangerous nuclear brinkmanship, or destroying the biosphere we depend on for survival.
If enough people can awaken to the urgent need for change, collective measures like national strikes and mass-scale civil disobedience could bring the capitalist empire to its knees without firing a shot. We own all the labor and purchasing power upon which the empire is built; that’s why a historically unprecedented amount of propaganda has gone into making sure we never make use of that power.
But nothing like that can happen until we come to terms with the reality that we live in a civilization that is designed to make us powerless. Until then we’re stuck with ridiculous strategies which feed into the illusion that we have the power to do something meaningful within the current system, like “Vote for Kamala and then push her to the left” or “Vote for Trump and hope he does something unpredictable”.
So lean into the powerlessness of this historical moment. Point it out to people. In as many ways as you can, help show people that their political systems are controlled by the powerful, that their news media are propaganda services of the western empire, and that a better world is possible if we can shake off the chains of imperial narrative control and start forcing the advancement of the interests of ordinary human beings.
You can do this using any means at your disposal. Talking to people. Distributing literature. Making videos. Making TikTok skits. Making tweets. Making art. Making memes. Writing on the wall. Writing blogs. Printing zines. Writing letters to the editor at your local paper. Anything you can do to help get unauthorized ideas into eyes and ears which may not otherwise have encountered them, using your own unique set of skills and personal conditioning.
The more eyes are opened to what’s going on, the more hands we will have working toward the task of waking up the others. This allows for the possibility of nonlinear growth, which means things could move very quickly from looking impossible to looking inevitable.
All positive changes in human behavior are always preceded by an expansion of consciousness. In helping to spread awareness of the fact that we live in a civilization that is designed to make us powerless, we actually turn that powerlessness into power by waking people up to the reality of what’s happening. The powerlessness-manufacturing capabilities of the empire can in this way be weaponized against the empire to take it down.
And of course, nothing I am describing here does Palestinian and Lebanese people a damn bit of good in the here and now. Today we are powerless to stop what’s happening, and it sucks, and it hurts.
Rather than letting this destroy us, we can just let those feelings wash over us, and feel them all the way through until they’ve had their say. Feelings are meant to be felt. If you just sit with a feeling and let it rip through you without trying to manage it or reframe it with thought stories, it always subsides after a while. Feelings are not dangerous. Just feel them.
We’re not supposed to feel okay about genocide. The fact that we’re feeling bad about what we are seeing just tells us that we are emotionally healthy people with a healthy sense of empathy, which is what we’re going to need if we are to build a healthy world someday.
So if you’re feeling powerless, feel the powerlessness. If you’re feeling grief, let the grief carry you away. If you’re feeling rage, let the rage roar through you. Don’t act. Don’t speak. Don’t think. Just feel. Cry. Moan. Scream. If you sit courageously through the energy of an emotion and give it a voice within you, it will move along once its message has been delivered.
Feel the feelings all the way through, and then get up and get back to work. We’ve got a world to save.
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