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2026年1月4日に、ケイトリンさんは、アメリカによるベネズエラ大統領夫妻の誘拐について記事を一つ配信した。『彼らがマドゥロを誘拐したのは、世界が責任を問われない暴君たちに支配されているからだ』(They Kidnapped Maduro Because The World Is Ruled By Unaccountable Tyrants)。
それに続いて、1月5日に彼女が定期的に電子本・紙本として出版している新刊の案内に付言するような形で、短い記事『米帝国はベネズエラを盗んだ』(New Issue Of JOHNSTONE: The Empire Stole Venezuela)を配信した。
一つ目の1月4日の記事は、いつものケイトリンさんのように、この「米国によるベネズエラ大統領マドゥロ誘拐・軍事介入」事件の背景にある世界の権力構造の説明になっている。
その翌日になぜまた同じ事件について書いたのか、分かるような気がする(本当は本人に訊かないと分からないが)。1月5日の記事は、非常に荒い口調で、ネットに現れる発言のお人好しぶり(騙されっぷり)を指摘し、呆れ、怒りを表している。これは、事件直後にSNSに溢れ始めた投稿を見て、私も強く感じたことだった。
彼女は、この1月5日の記事に、英語圏のネット言論で一般化している強い比喩表現を用いている。特に NPC や automaton といった語は、日本語では日常的に使われる概念ではないので、そのまま訳すと意味が分からなくなる。
NPC(Non-Player Character)は元々ゲーム用語で、あらかじめ決められた台詞や行動を繰り返すだけの登場人物を指す。近年の英語圏ではこの語が転用され、「自分で考えず、与えられた言説をそのまま反射的に繰り返す人間」を指す強い批判表現として使われている。
「自分で考えず、与えられた言説をそのまま反射的に繰り返す人間」。日本語SNSでも思い当たることは多くあるだろう。この傾向に関して警鐘を鳴らす投稿をしばしば見る。
もう一つの例は automaton(オートマトン)だ。これは単なる自動機械人形という意味ではなく、自ら判断することなく、外部から与えられた命令や論理を自動的に実行・再生する存在を指す比喩である。人間でありながら、思考や主体性を放棄し、権力の言葉をそのまま口にする状態を批判する語として使われている。
日本語SNSでも、「思考や主体性を放棄し、権力の言葉をそのまま口にする」様態は、何度も何度も現れ、何度も指摘されている。
しかし、ケイトリンさんは、もちろん日本語文脈で慨嘆しているわけではない。彼女は、特定の個人/国を嘲笑するのではなく、帝国的な言説がどのように人々の口を通じて無批判に再生されていくかを記述し、それがもたらす危機に注意を引こうとしているのだ。
もう一点書いておきたいのは、Caitlin’s Newsletter 日本語版で英語の勉強をしているという人を何人か知っているので、くどいくらいの訳註を入れることがあるのだが、今回の記事の朗読はとても面白い。情感たっぷりに語られているのだが、それだけでなく、文章には入っていない単語が散りばめられている。単語の入れ替えもある。興味のある方は、原文を見ながら、朗読を聞くと面白いと思う。
この記事では、ケイトリンさんの配信とは逆になるが、まず1月5日の記事を最初に、その後に、1月4日の記事を配置した。1月4日の記事では、これまでに分かっていることが確認できるだろう。
目次
- 帝国はベネズエラを盗んだ
- (1月5日配信)
- 彼らがマドゥロを誘拐したのは、世界が責任を問われない暴君たちに支配されているからだ
- (1月4日配信)
帝国はベネズエラを盗んだ
(1月5日配信)
[原文情報]
タイトル:New Issue Of JOHNSTONE: The Empire Stole Venezuela
著者:Caitlin Johnstone
配信日:JAN 05, 2026
著作権:こちらをご覧ください。
原文の朗読:こちらで 聴けます。
問題は、石油を盗むためにベネズエラの大統領を奪った、というだけの話ではない。あいつらは国そのものを丸ごと盗もうとしている。主権を盗もうとしているのだ。独立国家として、自分たちの条件で自分たちの問題を処理する権利そのものを。
「モンロー・ドクトリン」という言葉を10秒前に覚えたばかりの間抜けな右翼どもが、トランプのベネズエラ攻撃を正当化するために、一日中その言葉を鸚鵡返しに叫んでいる。腹立たしいのは、連中がそれを「実在する何か」について語っているつもりでいることだ。

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