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今回は、The International Schiller Instituteで行われたリチャード・ブラック(Col. Richard Black)のインタビューを紹介します。最近、ブラック氏は、また頻繁にインタビューに引っ張り出されてますが、ここで取り上げるインタビューは、2年半くらい前の2022年4月に行われたものです。
同年2月24日に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ東部のドンバスでの「特別軍事作戦」の開始を国営テレビで発表しました。これは、ほぼその直後に行われたインタビューなので、ロシアの行動に焦点が当たっています。
しかし、このインタビューはロシアの話に入る前に、シリアに関することにもかなり時間を割いています。この記事『シリア内戦の起源−リチャード・ブラックの見てきたアメリカ』では、シリアに関する部分だけを取り上げて、シリア内戦の起源について書きます。
インタビュー全体には、U.S. Leading World to Nuclear War(核戦争へと世界を導く米国)というタイトルがつけられています。このインタビューから2年半経った今、核戦争の可能性がしばしば語られますが、ブラック氏は当時既にその可能性を非常に現実的に危惧していたことが分かります。その部分は、別稿に収録します。
インタビュー全体は、YouTubeで公開されています。そのTranscript もThe International Schiller Instituteのホームページに掲載されています。
以下の記述では、インタビューアーのBillington 氏とブラック氏が話している部分は全てシャドウの中に入れました。
ブラック氏は、しばしば主語に「We(私たち)」という言葉を使いますが、これは「彼個人と誰か」という意味ではなく、「アメリカ」という意味で使われてます。
BILLINGTON:こんにちは、Executive Intelligence Reviewおよびシラー研究所(The Schiller Institute)のMike Billingtonです。本日は、リチャード・ブラック元上院議員であり大佐の方とお話しします。ブラック大佐は、31年間にわたり海兵隊および陸軍で奉職した後、1998年から2006年までバージニア州下院議員、2012年から2020年までバージニア州上院議員を務めました。後ほど、大佐ご自身からも軍歴についてご説明いただきます。
では、ブラック大佐、ようこそ。現在、アメリカ、イギリス、NATOが、ウクライナでロシアと代理戦争を行っており、ロシアを直接の標的とする経済戦争も行われています。同時に、ロシア、とりわけウラジーミル・プーチン大統領を悪魔化することを目的とした情報戦も展開されています。
一つの繰り返されるテーマは、ロシア軍が市民を無慈悲に殺し、住宅地を破壊しているというものです。これらは、シリアでのロシア軍の作戦に結びつけられ、特にアレッポでロシアは同様の行為を行ったと言われています。これらは、ロシアの戦争犯罪や人道に対する罪の例だとされています。
大佐は、シリアやその戦争についての虚偽を暴くために長年国際的に活躍されてきました。まずお聞きしたいのは、ロシアがシリアで軍事的に関与するに至った経緯と理由、そしてそれがアメリカやNATOが主張する軍事介入の正当化とどう対照的なのかという点です。
Billington氏が前半のウクライナ戦争に触れていることで二点注意しておきたいことがあります。一点目は、彼が戦争開始二ヶ月の時点で、この戦争をアメリカ、イギリス、NATOの戦争であると明確に述べていたこと。今では誰も隠さない周知の事実ですが、2022年ウクライナ戦争が始まった当時はそうではありませんでした。「ウクライナに卑劣な侵攻をしてきたプーチンに対して立ち上がる祖国の英雄ゼレンスキー」というストーリーが全世界に流布され、それを鵜呑みにした日本の軍事専門家、国際政治学者、インフルエンサー、マスメディア被雇用者、お笑い芸人、政治家たちが同じことをやかましく繰り返していたことを覚えておられる方も多いだろうと思います。
もう一点は、ロシアもしくはプーチンの悪魔化という情報戦が展開しているという認識のことです。一点目の誰が戦争をしているかという理解と深く繋がっていることですが、それを逆さまに転倒させる誘導がメディアを通して猛然と行われていたという認識です。
ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説をし、れいわ新選組以外の全ての国会議員がスタンディング・オベーションをしたのが、同年3月23日です。欧米メディアの情報をそのまま律儀に配達する日本のメディアに依存している国会議員も、多くの日本国民も現実とはまったく異なったウクライナ戦争を見ていたのです。主語極大化でざっくり言えば、この時点で日本は騙されていました。
最後の部分で、Billington氏はシリア内戦に対するロシアと、アメリカ/NATOの関わり方の違いを尋ねました。ここからしばらくシリアの話が続くことになりますが、ブラック氏は最初に自分の経歴についてもう一度語ります。
目 次
- アメリカを愛するブラック氏
- 捏造報道
- ティンバー・シカモア作戦
- ロシアとイラン
- アメリカの「ブランB」
- シーザー制裁
- レイプ・キャンペーン
- アサドの市民権法改正
- 乗っ取られた「アラブの春」
- 日本のディストピア
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