【Overseas】 欧米メディアの作法 – なぜ虐殺に抗議すると、反ユダヤ主義なのか? – 前編

メディアが偏向しているとはよく言われますが、本当に偏向しているのかどうか、そうだとすれば、どこが偏向しているのか、その偏向はどのように起きているのか等をこの記事でカバーします。
長くなったので前編と後編に分けました。この前編では、欧米メディアにおける(そして間接的には日本のメディアにおける)暗黙のお約束ごとと、新聞報道の定量分析の結果を、後編では、テレビ報道の定量分析の結果と、ジャーナリストの内部告発を紹介します。

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欧米メディアの禁止用語


少し前、Xでこんなポストが目に入ってきた。

本文の訳:
繰り返すが、イスラエルのメディアは米国メディアよりもイスラエル政府の行動について正直だ。 どれだけの西側メディアが、実際にそれをその通りに呼ぶのを見たことがあるだろうか: 民族浄化と。

その下に、イスラエルのハアレツ紙(HAARETZ)の記事の見出しのスクショが付いている。その見出しの言葉がこれだ。

Netanyahu’s Ethnic Cleansing in Gaza Is on Display for All to See

(訳:ネタニヤフ首相のガザでの民族浄化は、誰の目にも明らかだ)

投稿者は、この見出しに驚いたのだろう。僕も驚いた。「エスニック・クレンジング」、「ジェノサイド」、「民族浄化」、「大虐殺」などという言葉をイスラエルによるパレスチナ人虐殺に関しては使わないというのが欧米メディアの暗黙のお約束ごとになっているからだ。ましてや、イスラエルの新聞で使っているとは!

ここでいう暗黙のお約束ごととは、どういうものなのか?それは、「パレスチナ人がイスラエルに虐殺されるなんて、そんな恐ろしいことがあたかも起こっていないかのようにふるまうこと」ととりあえず言っておく。

そして、それの延長として、Free Palestine(パレスチナ人を解放しろ)、Stop Genocide(ジェノサイドをやめろ)などのフレーズを口にした瞬間、Antisemitism(反ユダヤ主義)というレッテルが貼られることになっている。世界中の大学や街の中で起きているデモで膨大な数の人が訴えているのは、惨たらしい殺戮を止めろということだが、反ユダヤ主義というレッテルを貼ることで、デモ参加者を「身に覚えのない罪の言い訳」をさせる位置に落とすことが出来るという効果がある。

そして現実の問題として、欧米のデモ参加者が反ユダヤ主義者として警察に暴行され、逮捕され、大学から追放され、アメリカでは学生を擁護した大学の学長が議会の公聴会に呼ばれ、糾弾されるという事態になっている。この現代に魔女裁判と同じようなことが起きている。

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