英語と機械とオジイさん

先進国の空港では人間のいるチェックインカウンターが滅亡しつつある。

JFK空港の機械でチェックインしようとしていたら、謎の東洋人のオジイさんがニコニコしながら近づいてきた。身振り手振りで自分もチェックインしたいと伝えてるのは分かるが、僕は乗り遅れ寸前なので時間がない。ヤバい。

自分のチェックインを速攻で終えて、「全部ちょっとかして、やるから」と言ってオジイさんのパスポートに手を出すと、頑なに握って離さない。

あー、そうだ、それはえらい。知らない人にパスポートを絶対渡すなと誰かに言われてきたのだろう。

しかし、date of birth のような簡単なことも通じない。

これじゃなかなか進まないよ。ゴメン、一人でなんとかして、と言って逃げようかと思ったが、オジイさんはニコニコしながら一心にみつめてくるので動けない。

そこへ、航空会社の職員が, Hi, how are you doing? と言って近づいてきてくれた。助かった!

伝わらないと思ったが英語で「この人が助けてくれるから、大丈夫だから、じゃあ行くからね」とオジイさんに言って去ろうとすると、もう説明を始めてる職員の方を全然見ずに(どうせ分からないし)、オジイさんはまだ名残惜しそうにニコニコしながらこっちを見てる。
勘弁してくれよ、ホントもう行くから。

空港職員に、デルタ、LA、どっち?!とか訊ききながら、ゲートまで走って行く途中、あのオジイさん、飛行機乗れたかな、何人だったんだろう、なんで一人だったのか、どうしてあんなにニコニコしてたのか、と色々考え始めていた。

それにしても、壮大な旅ではないだろうか?
たぶん80歳くらいで、全く言葉の分からない外国へ、自分たちが育った時代では考えられない、機械化されまくった世界を移動するなんて、相当根性いるだろう。孤独と恐怖に打ち勝つためにニコニコしてたのか?

機械仕掛けのチェックインが苦手な人はアメリカ人にもたくさんいる。そんな人は機械を避けてわざわざ人間のいるカウンターに行く。しかし、もはや人間のいるチェックインをほぼ廃止しかけてるNYCの空港では、そんな人も機械に追い詰められてる。

たぶん、これは外国人にとっては有利な展開だろう。

人間カウンターで英語でごちゃごちゃ言われても、どっちみち分からないのだから、機械の方が多言語対応がどんどん進むし、便利なはずだ。

ただ、あのオジイさんのようにそもそも機械慣れしてない世代では多言語対応の想定とかしないので、もうお手上げになってしまう。

いいか悪いかとは関係なく、英語と機械がダメな人には生きにくい世界になってきた。日本、瀬戸際感が溢れてないか?

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