「鼻つまみ投票」と「漁夫の利選挙」

はい、しっかり絶望してます。だから、変えたい。

だいたい僕のXへのポストはクソリプ多めなのだが、この(↓)ポストにはクソリプが来ない(見落としていない限りだが)。異論は少し来るが、異論はクソリプではない。ほとんどのコメントがこのポストで描写した状態を既に理解していた様子なのは、少し希望の持てる話だと思う。意見が分かれるのは、じゃあ、どうすればいいのだという点だろう。

少し整理しておく。

制度面:まず二大政党制が存在しない日本の現状では、小選挙区制が与党のポジションを固定してしまう問題については、改善策として二つの方向がある。

  1. 小選挙区制を中選挙区制に戻す。(これはポストに書いた)
  2. 小選挙区制はそのままにして、上位2候補の決選投票を導入する。(これはポストに書かなかった)

現行制度の旨みを味わっている与党勢力が権力を握っているわけだから、現在の勢力図の下では、これらの実現可能性はまず無い。

実践面:いくつかのコメントで、一番手に維新の候補が居座り、二番手に自民の候補だったら、自民に入れるのかというようなものがあったが、よく読んで欲しい。記事全体で僕が目標としているのは、政権与党の議席数を減らすということだから、二番手に自民もしくは公明が粘着している時に、この二番手に投票して、一番手の維新の候補と逆転してしまえば、元の木阿弥になる。このような地獄選挙区には、残念だが解は無い。三番手に投票するしかないが、死票になるだろう。

次の問題も何人かの人が指摘していたが、これについては、僕は明確に意識した上で、鼻つまみ投票という自爆戦略を書いている。これは、どういうものかというと、一番手に与党の自民か公明がいる、そして二番手に、例えば名目野党の立憲や国民がいる、この場合に、立憲・国民を当選させてしまうじゃないか、という意見だ。

その通りです。漁夫の利を得ることに虎視眈々としているのが、立憲や国民のような低俗野党なのです。それは痛烈に意識していました。以下の抜粋を読んでみてください。

実際は、もっと悲惨なことが起きている。現状を変えようとする弱小政党が次々に生まれてくることを揶揄しながらも、彼らが自民党票を食うことをほくそ笑んで見ている野党が存在する。

彼らは政権を取ることなどまったく念頭にない。しかし、自民党が過半数割れすることによって、漁夫の利を得ることは期待している。連立政権という名でご褒美をもらえることを期待しているのだ。だから、野党共闘などという本気で政権交代をしようとする試みは徹底的に潰す。野党の敵は野党なのだ。

ここでちょっと話が逸れるが、野田とか玉木という人間は、その言動を観察する限り、人間として全く評価できない。例えば、野田佳彦という人間は日本の民主主義を100年後退させた節操のかけらもない権力欲にまみれた俗物です。日本の破壊への貢献度は、安倍晋三並みか、もしくはそれ以上だと思っています。戦後史に残る2009年の民主党の圧勝とその後の民主党政権についてはその功罪について百家争鳴ですが、それら全てを吹き飛ばすような大罪は、国民の中にしっかりと裏切られた感を植え付けたということです。それを身をもって演出したのが野田です。「もう何やってもいっしょ、選挙なんて行ってもしょうがない」「民主主義?バカじゃ無いの?」という態度が日本人の中に隅々まで根を張ってしまった。

2009年第45回衆議院議員総選挙の結果

自分が閣僚ポストをもらえるためには、平気で嘘をつき、平気で人を裏切るような人間が率いる政党を一人も当選させたくない。それが立憲や国民に対する僕の基本的な見方です。

それなら、なぜ「鼻つまみ投票」など推すのか?「鼻つまみ投票」の裏面は、それが成功すれば、二番手が「漁夫の利」を得るということです。そして、それが立憲や、国民や、維新だったら、自公の悪政と同じことではないか。

その通りです。「鼻つまみ投票」と「漁夫の利」はセットです。与党と同じくらい絶望的な名目野党に「漁夫の利」を持っていかれるくらいなら、本当の野党、共産、社民、れいわに投票するべきだ、という意見は理解できます。

しかし、今までもそれを続けてきたのではないですか?同じことを繰り返して死票の山を積み上げるのですか?兵隊が死んでも、死んでも同じ場所へ同じやり方で突入させる乃木希典のようなことは僕には言えない。絶対に死ぬことが分かってることをなぜするのか。乃木希典は兵隊が殺されることに慣れてしまっていたのではないか。

一票は兵隊一人です。死なすわけにはいかない。心情的に、原則の問題として、「鼻つまみ投票」を各個人が拒否することは否定しません。しかし、同じことを繰り返して、兵隊/票を無駄死にさせていることを自覚していないなら、もはやそれは選挙とは関係のない次元の行為でしょう。我々には二者択一がある。与党の議席を減らすために心理的苦痛を乗り越えて鼻つまみ投票をするか、当選可能性が微塵もない候補に気持ちよく死票を当時続けるか。

最後に重要な点だが、「鼻つまみ投票」の結果、自民の議席が減って、立憲や国民が増えたら同じことだというのは、現実には正しくない。一般論として、一党単独政権よりも多党連立政権の方が脆弱性が増す。連立政権を構成するそれぞれの党がそれぞれの支持者の顔色をうかがうことによって、連立政権は効率性を低下させ、ノイズが入る隙間が出てくる。そこに一党単独政権の安定さは無い。ボロを出させるには、多党連立政権の方が野党にとっては有利です。

現在の日本を見る限り、一回の選挙で政権交代が実現する可能性はゼロでしょう。二段階か三段階のプロセスが必要と思う。第一段階として、現与党の議席数を減らすことは絶対条件になる。そこで自公が立憲や国民の議員をかきあつめて、連立政権が形成され、それが規律も統制も哲学もなく、ただ寄り集まっているだけで 秩序のない烏合の衆と化すこと。それが達成できれば、第一段階はクリアです。そこからは、想像に過ぎないので書かないが、新しい状況が展開する可能性が出てくる。

何一つ動かない投票行動を繰り返すことの一番大きな問題は、次の展開の可能性もまったくうまないということでしょう。波風を立て淀んだ政界を動かさないといけない。そう思ってます。

れいわにはその意志があり、行動する。だから、比例はれいわなのです。

いきなり水をさすけど、この選挙、単発的に孤立した野党勝利はそこかしこにあるかもしれないが、何をどう頑張っても現状を変えたい人にとっては全体として期待外れに終わる。

一選挙区につき一人を選ぶ小選挙区制の呪術にかけられたままで、野党が勝てるわけがない。いや、厳密に言えば、複数野党が共闘して候補者を一人に絞れば野党が勝つ可能性は十分にある。しかし、日本にはその可能性を粉砕した立憲民主党という政党がある。

分散する野党戦力が、選挙区ごとに一人に絞り込む与党と戦って何を期待するのか。

与党の当選者の得票率はせいぜい4割前後だ。残りの6割くらいの票が複数野党に配分され、結局死票になる。

全体として4割程度の得票率で、彼らは6割以上の議席を確保する。20世紀初頭イギリスで単純小選挙区制において政党の議席数は、政党の得票率に対して三次関数の議席数になることが経験則として定式化された(3乗法則)。

日本の経験はそれを裏付けている。2005年の衆院選、2012年の衆院選、2014年の衆院選における自民党、2009年の衆院選における民主党は、いずれも4割台の得票率だったが、獲得議席数は7割から8割だった。

二大政党制が確立していれば、小選挙区制でも問題ない。与党・野党の一騎打ちになるのだから、複数野党が票を分散するが故に負けるということはない。負けたとしたら、支持率が反映されただけのことだから諦めるしかない。二大政党制の下では、小選挙区制はフェアに働く。

ところが、この単純な力学を転倒させて、「二大政党制を確立するために小選挙区制を導入する」という論理を持ち出した頓馬がいた。いや、おそらくよく練られた作戦だろう。1994年の公職選挙法改正で、衆議院は小選挙区と比例の二本立てになり、おまけに政党交付金が導入された。

つまり小選挙区制という現状の下では、各選挙区で一本化された与党候補者が4割を得票し、残りの6割を複数野党が分け合っている。この状況で、野党候補が勝つには、①党派を越えて圧倒的に支持されている個人がその選挙区に存在するか、②野党が候補者を一本化した場合以外はあり得ない。

②は前述のように立憲が潰した。残るのは①だけだ。どれほど有能な野党候補者でも、他野党支持者の票まで引っ張って来て、与党候補者の4割の壁を破るのは至難の技だ。

現制度下では、政権交代は起こすためにどんなオプションがあるのか。

A. 小選挙区制を中選挙区制に戻す。しかし、これはそもそも国会で野党が圧倒的少数派である限り、起きないので現状では可能性は限りなくゼロだ。

B.現行の小選挙区制度の下で、野党共闘により全ての選挙区で野党候補者を一人に絞る。与党・野党の一騎打ちになることを与党は一番恐れている。これが出来れば、全国制覇も夢ではないかもしれない。4対6で既に野党が勝っているのだから。しかし、全野党がこれに合意しなければいけない。現状を見る限り、無理だ。

C. 小選挙区で戦ってもしょうがないから、比例に重心を移すと野党が考えるのは不合理ではない。それでも、比例は全部で176議席、衆議員数全体(465議席)の38%程度しかない。そのうち6割取ったとしても、衆議員全体の22%くらいしかない。

この選挙単独で見ても期待できることは少ないし、政権交代には全然近づかない。

実際は、もっと悲惨なことが起きている。現状を変えようとする弱小政党が次々に生まれてくることを揶揄しながらも、彼らが自民党票を食うことをほくそ笑んで見ている野党が存在する。

彼らは政権を取ることなどまったく念頭にない。しかし、自民党が過半数割れすることによって、漁夫の利を得ることは期待している。連立政権という名でご褒美をもらえることを期待しているのだ。だから、野党共闘などという本気で政権交代をしようとする試みは徹底的に潰す。野党の敵は野党なのだ。

自民党にとって、小選挙区の導入は良いことばかりだったのか?

心ある自民党政治家はそうは思っていない。複数の自民党候補者が同選挙区で戦うことがなくなり、彼らは切磋琢磨の機会を失い、退化の道を辿り始めた。自民党公認を得ること、つまりその選挙区で自民党代表選手として候補者になること、それがすなわち事実上の当選となる。これによって世襲ボンクラ制度は強固に定着し、自民党政治家の質は見るも無惨に急低下した。長期的に見て党の未来を憂う自民党政治家がいても不思議はない。

身も蓋もなく絶望的なことを書いているが、敗北宣言をするのが主旨ではない。観察結果をなるべく端的に書こうとしただけだ。にっちもさっちもいかないなら、では、実際どうしたらいいのか。鼻をつまむしかない。

具体的には、自分が投票する選挙区で二番手につけている候補者に投票する。その候補者を自分が支持してるかどうかはもはやほとんど意味がない。

二番手に投票を集中させることだけが、余裕をかまして一番手に座っている与党議員を落とす唯一の手段になる。自分が支持する候補者が三番手、四番手にいても、それに投票することは死票を増やし、一番手にいる与党候補者を利するだけになる。

こんなことを言っても、ほとんどの人が納得できないことは分かっている。ただ与党に勝つためには、我々には、鼻つまみ投票以外に何も残っていないということだけは書いておきたい。

オリジナルのポストはこちら。

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