2024年9月22日、LIVE 69 自衛権と武装抵抗権を実施した。参加者のアンケート結果が返ってきた順に掲載していく。
占領国が被占領民に対して自衛権を持つという主張の根拠になるような条約も慣習国際法も法の一般原理も判例も学説も存在しない。
存在するのは、占領国の義務を厳密に規定した、ハーグ条約/法からジュネーブ条約/法に発展して形成された国際人道法だ。例えば、
「その(占領国の)権力内にある被保護者に肉体的苦痛を与え、又はそれらの者をみな殺しにするような性質の措置を執ることを禁止」
「この禁止は、被保護者の殺害、拷問、肉体に加える罰、身体の切断及びそれらの者の医療上必要でない医学的又は科学的実験に適用されるばかりでなく、文民機関によって行われると軍事機関によって行われるとを問わず、その他の残虐な措置にも適用される」
その他膨大な規定によって被占領民は守られている。国際人道法は、19世紀から発展してきたが、第二次世界大戦の人類の経験を大幅に取り入れている。
もし、日本が戦争に巻き込まれたら、もう一度被占領民になったり、捕虜になったりすることもあるかもしれないが、国際人道法が自分個人に何を保証してくれているかを知っているのは無駄なことではない。実際、シベリアに抑留された日本人で当時の国際法の教科書をたまたま読んでいた人が捕虜の権利をロシア人に説いて待遇を改善した話も残ってる。
イスラエルは、80年近く国際人道法に規定される占領国の義務を全て完膚なきまでに反故にしてきた。それを糊塗するのがありもしない自衛権の理屈だ。
第二次世界大戦後、このような無法はイスラエルだけではなかった。そのため、次のような3類型に一般化し、その下で苦しむ人々をどうやって保護するかということが人類の課題になった。
①植民地支配
②外国人による占領
③人種差別体制
第二次世界大戦後の世界には、上記3種の体制の下で、まだまだ略奪、強姦、虐殺が続いていた。しかし、国際社会は、被占領民や被差別民の武装抵抗権を擁護することで、彼らを守る方向へ少しずつ進んできた。
1967年06月14日:国連安保理決議237号
1968年03月24日:国連安保理決議248号
1968年08月16日:国連安保理決議256号
1970年10月24日:友好関係宣言
1971年12月06日:国連総会決議 A/RES/2787(XXVI)
1977年08月12日:ジュネーブ条約第一追加議定書
1979年11月23日:国連総会決議 A/RES/34/44
1982年12月03日:国連総会決議 A/RES/37/43
1983年11月22日:国連総会決議 A/RES/38/17
イスラエルの国際法違反を明確に非難する、67年、68年の安保理決議237号、248号、256号において、アメリカも拒否権を発動していない。
77年のジュネーブ条約第一追加議定書は、この流れの総まとめと言える。ここに「民族が自決権を行使して植民地支配や、外国人による占領、人種差別体制と闘う武力紛争」の権利が明確に規定された。
しかし、アメリカはこの議定書に署名したが批准しなかった。イスラエルは署名していない。ところが、占領国の義務は慣習国際法化している、強行規範化しているというのが主流の学説になってきた。そうなると、署名も批准も関係なく、やがて全国家の義務になる。
占領国が占領民に対して自衛権を主張することが詭弁であることは少し考えれば、国際法など知らなくても気が付くだろう。その一方で、国際社会が条約化へ向けて一歩一歩進んできた武装抵抗権については都合よくテロというレトリックで一蹴しようとする。今起きていることは、ありもしない自衛権と厳に存在する武装抵抗権の衝突とも言える。
イスラエルは建国以来一貫して人類全体の文明化への努力を、国際法規範の束を根こそぎ破ることで、無視してきた。それに対して、文明側は世界中で異議申し立てをしている。今起きていることは、アンチ・セミティズム(反ユダヤ主義)とは全く何の関係もない。人類文明の破壊に対する抵抗なのだ。
感想
「保護する責任(Responsibility to Protect – R2P)」のところで、「自国民の保護という国家の基本的な義務を果たす能力のない、あるいは果たす意志のない国家」に、日本は少なくとも、他にもいろんな国が当てはまるという解釈が可能だと思いました。「保護する責任」を旗印に「俺が国際社会だ」と言って干渉や戦争をおっ始める国があってもおかしくない、と思った次第です。
人の考え方や感覚やいろんな要素は様々で、その中でもある人が何か特定の人に対して意地悪で力もあって強ければ、その特定の人が弱かった場合その人の自然権は侵害されることがある。国にも同じことが言えて軍事力や経済力の強さに意地悪な心が加われば、他の弱い国が侵略されることがある。人間性の段階は人それぞれで、いつの時代も変わらなく、時代が進んでも変わらなく、慈悲深い人がいるのと同時に意地悪な人も必ずいる。そういう人間界の人々がそれでも戦争を無くすにはと考え続けいろんな案を考え出した蓄積が、国際法なんじゃないかと思いました。
今の国際法の最善最新を理解して、それを基に現在起きている事象を的確に把握して自分の考えをしっかり持つのは生きていくのに必要と思います。そして更により良いものにするためにこれからも考え続けなければいけないとも思います。 一方で、自分が地球に生きる人間として、自分の人間性について責任を持ち、振り返り、向上できるよう日々努力することは、人類全体の底上げに繋がるとも信じています。意地悪には程度がありますが、小さくてもやはりそれは大きな争いの種子になり得ると思うので、教育というのも大事ですが、自省の大切さをお話を聴きながら思いました。
よしさん、お疲れ様でした。ありがとうございました。
現代史ほとんど知らないと思っていたけど リアタイで冷戦終結を見てたはずのまわりの人が今回のウクライナ紛争でNATO寄りの考えが多くてびっくりした。みんなどこみてたんだろう。パレスチナ難民問題だってずっとあるのになんでテロリスト集団呼ばわりするのを疑問に思わないんだろう。
まさかと思うけど私は現代史を知ってる方なのか?!
インドのことなんかガンジーしか知らないし 名前を聞いてもどこにあるかすら解らない国多い…(それは地理か)。
いろんな国が絡み合って わざと絡ませる国もあって今こうなっているわけなんだから もう少しは知りたいと思う。
話は変わるけど 実は私はプーチンさんがけっこう好みのタイプで可愛いと思っちゃう。合戦でケリを着けようという昔者なので困るんだけど…。
こういうことを言うと石を投げられそうな昨今を少し寂しく思う。だからちょっと言ってみたかった。
政治についても茶飲み話が出来ると良いなと思う。分けが分からんって感じで浮いちゃう…前はもうちょっと出来てたような気がするんだけど歳をとったせいかしら。
そんなこともあってよしさんのお話を聞くのは好きです^^ 最低賃金が上がっても水道代も上がるので 暫くは様子見だけどまたちょっと余裕を作って聞けるといいな。
リアルタイムで久々に参加できました。
「ストップ・ジェノサイド、子供を殺さないで!」と書いたプラカを玄関に置いています。 初めて、「どういう意味ですか?」と客人に聞かれました。
かろうじてパレスチナという単語を知っている方で、 「やはり、宗教対立なのですよね?」 で会話が始まりました。
「だいたい説明出来る」これを目標としていますが、なかなか簡潔に話すのはまだ難しかったです。 ただ、よしさんの講演だけでなく、少しづつ、この分野のことを学んでいることで、初めて聞くことばかり→入門のところにいる、と変化していると思えました。
今回は特に、自衛権と自決権の違いが、レジメと共に頭に入りました。 パレスチナの人たちはテロを起こしているのではなく、権利を侵害されているために、やむなく闘っている。彼らは抵抗する権利をもっている、という事がはっきりと伝えられるようになりたいと思いました。
一通り話した後に、 「こういったことは、お仕事なんですか?」 「なせ、関心をお持ちで?」 「世界の事に関心があってえらいですね」 と言われたのは…。
「仕事ではないです。もし、ユダヤ人のホロコーストが目の前で展開されていたら、なんとしても止めなきゃ、って思いますよね?パレスチナでは今、同じことが起きています。」 と言って、詳しいパンフレットを渡しました。
LIVE、ありがとうございました。
イスラエルがパレスチナに行っている行為が国際法上明らかに違反していることが今回のLiveでよく解りました。
被占領国であるパレスチナの自衛権の行使が国連安保理決議で何度も「武力闘争を含むあらゆる利用可能な手段」で抵抗することを認められているにもかかわらず、『パレスチナのやることは「テロ」』というアメリカをはじめとする国々。
イスラエルは「占領している側」なのに「自衛権があるから」という訳の分からない論理を展開しているアメリカ側。
大きな嘘がアメリカを中心にしてまかり通っている世界。
そして何とか抗うもう一方の世界。
このアメリカ、イスラエルらの論理を許すと、全ての善悪がオセロのように覆ってゆくでしょう。 一つの結界が崩れると全てのタガが外れていく。
世界が繋がっていることを改めて感じています。 一つのタガは一人から。 きっと一人一人が小さな結界を形作って世界は出来ているんでしょう。 その結界を守って、正しい方向へ向かわすのも一人一人。 その為には一生一人一人が世界のことに眼をひらいて勉強していくしかないでしょう。
今回もいろいろ考えることがことが出来るLive をありがとうございました。
自衛権をはじめ解説いただいた内容は、これまでと今後の出来事をみていく時に大いに役立ちます。都合よく使用していないか、騙されないようにするためにも必要だと思います。詳しく学べる場が少ない(ほとんどない)ので、学びたい人が気軽に参加できる機会を設けていただき、感謝いたします。ありがとうございます。
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