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イスラエルの根本的な問題は、まさにここにある。なぜイスラエルという国家が存在することが前提になっているのか。なぜそこから問い始めずに、その前提を無謬のものとして、すべての議論は始まるのか。
理由の一つは、そんなことを言えば、ヒトラーと同じようにユダヤ人を根絶しろと言うのか!と非難されかねないからだろう。そんな非難があるとしたら、それは国家と人間を混同しているからだ。
実際は、イスラエルという国家に対する疑問や非難は数多く見るが、ユダヤ人を根絶しろというような純化された反ユダヤ主義(Anti-semitism)の言説を、ナチズムに関する記述以外では現在のメディアでも見ることがない。どこかにあれば、教えて欲しい。
現在起きているもっと深刻な問題は、イスラエルという国家による行為、つまり大量虐殺、民族浄化、国際人道法違反、国際法違反の他国への武力行使などに対する批判を、反ユダヤ主義として非難を絶叫する人々、政府、メディアが存在するということだ。
大量虐殺、民族浄化、国際人道法違反、国際法違反の他国への武力行使などの行為は、誰がしても批判に値するものであり、そういう批判を反ユダヤ主義という論理は成り立たない。仏教国が、大量虐殺、民族浄化、国際人道法違反、国際法違反の他国への武力行使などの行為を犯しても、批判されるだろう。その批判を反ユダヤ主義と呼ぶのだろうか。
こんな馬鹿げた詭弁を真面目な顔して毎日垂れ流している先進欧米諸国(+日本)という言語空間の中で我々は生活している。その深刻な意味は、自由な議論が封殺されているということだ。
A国の国際法違反は批判してよいが、B国の国際法違反を批判したら、逆に人種差別主義者として罵倒と非難の絶叫にさらされるとしたら、そこには言論の自由はないということだ。
この記事は、イスラエルの根本的な問題がどこにあるかに読者の目を向けさせようとしている。
[原文情報]
タイトル:Israel’s Own Actions Invalidate All Pro-Israel Arguments
著者:Caitlin Johnstone
配信日:JUN 14, 2025
著作権:こちらをご覧ください。
原文の朗読:こちらで 聴けます。
すべての親イスラエルの論拠は、イスラエル自身の行動によって無効化された。
イスラエルがこうなったのは、私のせいではありません。シオニズムの企てがこのような形をとっているのは、私の責任ではありません。あなたは私のことを、イスラエルの大量虐殺的な残虐行為や狂気じみた好戦性を批判したという理由で、終日「反ユダヤ的な怪物」だと罵ることもできるでしょう。
しかし、私がイスラエルにこれを強いたわけではありません。これはイスラエルが自ら選んだ姿です。これが、シオニストたちが思いのままに振る舞うことを許された国家の姿なのです。
ユダヤ人の歴史的迫害について、あなたはいくらでも語ることができます。なぜかユダヤ人には、古代にユダヤ人が暮らしていた場所に、自分たちだけの国家が必要なのだという理屈を唱えることもできるでしょう。
しかし、私たちの目の前にあるのは、まさにそれが実現したときに現れる姿なのです。これが現実なのです。これが結果なのです。そしてこれ以外に提示された結果はありません。それがそうであるのは、私のせいではありません。
イスラエル擁護のために持ち出されるすべての論拠は、結局のところ、「ユダヤ人には、ユダヤ人が支配する祖国がどうしても必要であり、それは今のイスラエルという場所でなければならない」という、無条件に受け入れられた前提に依存しています。この前提を受け入れれば、イスラエルの行動が必要であるという他のすべての議論が筋の通ったものに見え、擁護可能になるのです。
しかし、私たちはその前提が意味するところを目の当たりにしてきました。それは必然的に、絶え間ない暴力、圧政、戦争、そして虐待を意味するのです。それは必然的に、大量虐殺を意味します。それは必然的に、民族浄化を意味します。なぜ「必然的に」と言えるのでしょうか?――なぜなら、私たちは今まさにその場所にいるからです。
つまり、すべての親イスラエル的な議論の土台となっているその前提自体が無効なのです。
それはつまり、そのすべての議論が根拠を欠いているということです。
それはつまり、現在のイスラエルという国家のあり方を維持し続けることに、正当な理由など本当は存在しないということです。
それはつまり、西側諸国の政府がその現状を支持し続ける理由もまた存在しないということです。
それはつまり、このアパルトヘイト国家を終わらせ、すべての人に平等な権利を与え、パレスチナ人に帰還の権利を認め、過去の過ちを正し、イスラエルおよびその西側支援国が被害者たちに巨額の賠償を支払い続けることで、未来の世代がその被害を感じることのないようにする――それを実行しない理由はない、ということです。
これこそが、この問題における唯一筋の通った立場なのです。イスラエル自身の行動が、それを明らかにしているのです。イスラエル批判者たちが、イスラエルにそうした行動を取らせたわけではありません。その行動は、イスラエルという存在そのものから必然的に生まれたものなのです。
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