LIVE 60 「あの日、国際司法裁判所で何が話されたのか?」第一部

次のライブは、LIVE 60 「あの日、国際司法裁判所で何が話されたのか?」になります。

参加要領

実施日時:第一部:2024年2月11日午後1時
     第二部:2024年2月25日午後1時(実施日が変わりました)。
実施方法:Zoom
参加資格*:COMMUNITY メンバー
参加料金:無料。
*:一般参加の募集はありません。

世界秩序が変わりつつある。ColonialismとRacism を両輪とした欧米諸国の覇権が最終局面に来たと言い換えることも出来る…。あるいは、19世紀半ばから始まるSelf-determination という形の抵抗がようやく実態を伴い始めたとも言える…。二つの世界大戦や冷戦は、19世紀的世界秩序が強権を発動する過程で生まれた短い挿話であったと見ることもできる…。

どのようなパースペクティブで見ようとも、我々が慣れ親しんできた世界秩序が崩壊しつつあることに変わりはない。ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)という非欧米によって牽引される新しい世界秩序は、急速に現実的な力として現れてきている。旧秩序は猛烈な反撃を試みるだろう。荒れる時代は既に始まっているが、彼らが本格的な悪あがきを始めたら、何が起きるかは想像もつかない恐ろしさがある。

つまり、我々は、約200年ぶりに世界秩序が転換する画期的瞬間を目撃している。様々な現象として、それは現れるが、南アフリカ共和国によるイスラエルのジェノサイド犯罪に関する国際司法裁判所への提訴も、その一つだろう。国際司法裁判所の判断が注目されているのは、これが新秩序が現れることが出来るのかどうかの一つの試金石として見ることが出来るからだ。

この文脈で、2024年1月26日に国際司法裁判所が出した暫定措置の命令は、画期的なものであった。それは、イスラエルによるジェノサイド犯罪の停止命令であるだけでなく、植民地主義と民族差別を両輪とした欧米による世界秩序の終了命令でもあるのだ。

日本語メディアでも、この南アフリカによる国際司法裁判所への提訴がニュースになっているのを見たが、コンビニの万引き事件と同程度の扱いしか受けてないような印象を持った。もちろん日本では数十円の万引きが数千万円の脱税より厳しく罰せられるのは承知しているが、自分たちの住んでいる世界のあり方に大変動が起きていることを報道はちゃんと伝えるべきではないかと思う。もっとも、日本国の始まりとなったポツダム宣言だって忘れられているのだから、新しい世界秩序の始まりに関心がもたれなくても不思議ではないのかもしれない。

国際司法裁判所のプレス・リリース

2023年12月29日、国際司法裁判所は次の一文で始まるプレス・リリースを公表した。

THE HAGUE, 29 December 2023. South Africa today filed an application instituting proceedings against Israel before the International Court of Justice (ICJ), the principal judicial organ of the United Nations, concerning alleged violations by Israel of its obligations under the Convention on the Prevention and Punishment of the Crime of Genocide (the “Genocide Convention”) in relation to Palestinians in the Gaza Strip.

和訳
2023年12月29日、オランダ・ハーグ。南アフリカは本日、国際連合の主たる司法機関である国際司法裁判所(ICJ)に対し、イスラエルがガザ地区のパレスチナ人に対し集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約((以下「ジェノサイド条約」という)における義務違反の疑いで、イスラエルに対する訴訟手続きの開始を申請した。

この件に関して、国際司法裁判所はプレス・リリースを続けて出している。これによって、今、何が起きているのか、次何がいつ起きるのかという予定を全世界の人が知ることが出来る。そして、法廷が開かれた場合は、リアルタイムで全世界の人がインターネットを使ってそれを見ることが出来た。オープンであることに徹底的に留意しているのだろう。もう誰も知らなかったとは言えない。

LIVE 60では、国際司法裁判所が何をプレスリリースで発表してきたのかを見てみる。

29 December 2023

3 January 2024

10 January 2024

12 January 2024

24 January 2024

26 January 2024

基本的な文書

南アフリカ共和国の最初の訴訟手続きの申請書類から、公判を経て命令に至るまでに関わる、すべてのドキュメントが誰にでも手に入りやすいような形で、国際司法裁判所のウェブサイトに公開されている。

①は、南アフリカが用意した84ページの訴訟開始申請書類。そこで、南アフリカは、ガザで何が起きているかを現在手に入る限りで最も信頼できる情報で再構成しようとしている。第三者機関による調査が不可能な時点でこれ以上の情報は望めないだろう。

1月11日と12日に開かれた公判はインターネットを通じてリアルタイムで全世界が見ることが出来た。僕も半分ずつくらい見たが、ここには素晴らしいスピーチがあった。下の②と③には、彼らが話したことの全てが逐一記録されている。

公判の2週間後に発表された国際司法裁判所の命令が④のドキュメントだ。反対意見も含めて、5人の判事の個別の意見も付帯されている。

国際司法裁判所は、親切にも、命令の要約も公表した。それが⑤のドキュメント。

LIVE 60では、南アフリカが84ページも費やして、いったい何を国際司法裁判所に伝えたのか、そして公判では、南アフリカとイスラエルの代表は何を言ったのか、そして国際司法裁判所が暫定措置の命令に至る論理はどういうものだったのか、を反対意見を含めて要約する予定です。

以下は、LIVE 60 当日の進行予定表です。横道に逸れて正確にこの通り進まない可能性もあります。

CONTENTS
  1. 国際司法裁判所
    • 国際司法裁判所とは何か
    • 国際司法裁判所判事の構成
    • 国際司法裁判所と国際刑事裁判所
  2. 国際刑事裁判所
    • 国際刑事裁判所とは何か
    • 国際刑事裁判所判事の構成
    • 活動歴
  3. ジェノサイド条約
    • いつ、なぜ出来たか
    • これまでに批准した国
    • 日本の未批准について
    • 判例
  4. 南アフリカの国際司法裁判所への提訴
    • 南アフリカの提訴の内容
    • 南アフリカの弁論
    • イスラエルの弁論
    • 国際司法裁判所による暫定措置命令
    • 各国の反応
    • 日本政府の反応

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